契約書作成時の一般条項。明示的に記載し、あるいは合意しておくことが望まれる条項について。


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契約書に記載する一般条項

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契約書に規定すべき具体的な条項は、個々の契約の類型や目的によってそれぞれ異なります。ですが、おおよそ契約書を作成する際に共通して規定する条項もあります。例えば、契約当事者,契約違反,契約解除,紛争解決等です。これらは「一般条項」と呼ばれ、いずれの契約型であっても明示的に記載し、あるいは合意しておくことが望まれる条項です。

一般条項の知識

一般条項と呼ばれる規定がなくても、民法や商法などの法律で最低限の規定があります。法律による規定はあくまでも抽象的なもので、必ずしも当事者のすべてが満足する内容になるとは限りません。一般条項とはいえ可能な限り当事者間の契約書に規定しておくことが望まれます。以下、具体的な条項例を記載しますが、ここに記載されている条項がすべてではなく、又、すべて必用でもなく、取引内容,契約内容に応じて適切な条項を規定しておくことが望まれます。

契約の当事者

契約の当事者を適確に特定しておくことは、契約書作成でもっとも重要な事項のひとつです。契約は原則として、申し込みの意思表示と承諾の意思表示の合致により成立することになっているので、当事者間の合意が必要になります。その当事者があやふやであれば、そもそも合意が成り立たないことになります。契約の当事者とは、契約上の地位が帰属し、契約内容の効力が及び、契約内容に拘束される相手方当事者のことです。契約内容の条件などを交渉している相手方が契約の当事者であることは当然と思われますが、実際は交渉している相手は当事者の代理人であったり代理商であったり、親会社、別の会社であったりすることはあります。一般的に、契約書の冒頭部分と記名捺印(署名捺印)部分の2か所に当事者の正式名称が記載されます。冒頭部分の記載方法としては前文で契約の主体となる当事者の名称を記載しますが、別条項を設けて記載する場合もあります。


<前文で名称を記載する場合>

A株式会社(以下、「甲」という)とB株式会社(以下、「乙」という)は以下のとおり合意したので、本契約を締結する。


<別条項を設けて記載する場合>

第〇〇条
本契約の当事者は次の各号に記載するとおりである。
(1)甲:A株式会社
        所在地
        代表者
(1)乙:B株式会社
        所在地
        代表者


契約違反

契約は当事者によって守られることが大前提となっています。もし守られなければ、それは契約違反です。一般に契約違反があった場合、違反当事者は期限の利益を失ったり、相手方当事者に契約の解除権や損害賠償請求権が認められます。どういった場合に契約違反となるかは、契約書において規定することになります。強行規定に反する場合を除いて基本的に当事者が決めることができます。当然ですが、契約当事者は契約通りに約束の内容を履行してもらうことを期待しているのであって、契約の解除や損害賠償請求を期待しているのではありません。しかし、契約違反の条項を明記することで、約束通りの履行を促すという間接的な強制力の効果は期待できます。具体的な条項は期限の利益の喪失や解除権、損害賠償請求権などと関係することになるので、これらの条項に組み込まれることが多いです。


期限の利益喪失

期限とは、例えば当事者が、代金は「○○月○○日までに支払う」ということを定めたその一定期日のことをいいます。この場合、代金は○○月○○日になってはじめて支払えばよいことになります。つまり、定めた○○月○○日までの期間は支払わなくてもよいという利益を与えられたことになります。このような利益を「期限の利益」と呼び、今支払ってくださいと請求しても、定めた○○月○○日まで支払いを拒否できることになります。この期限の利益を与えることは、支払い義務者(債務者)に一定の信用を供与することを意味するので、その信用に不安が生じるようなことや、その信用を失わせるような行為があれば、未到来の期限が到来したものとみなし、ただちに支払ってもらう(債権を行使する)ように手当する必用があります。このように、支払い義務者(債務者)がそれまで享受していた期限の利益を失うことを期限の利益の喪失といいます。民法や破産法などでもどういった事由で期限の利益を失うかは定められていますが、実務では法律が明文で定めている事由に加えて、一定の事由が生じた場合に期限の利益を喪失することを約束することが一般的です。

なぜ期限の利益の喪失条項が必用か

債権保全のために必要不可欠な条項です。支払い義務者(債権者)の信用不安(支払ってもらえないかもしれないといった不安)が生じた場合、速やかに回収を進める必要があります。当然ですが、回収するためには債務者に「支払え」と請求できる権利を有していることが大前提です。支払いの期限がまだ到来していなければ、「支払え」と請求しても拒否されます。保全する債権(支払えという債権)につき期限が到来している必要があります。したがって債権者にとって支払ってもらえないかもしれないと思う事由を広く考えて期限の利益の喪失の事由を約束しておくことが必用です。

条項例

一般的に期限の利益の喪失事由とされる事項としては、契約違反,手形不渡り,差押え,競売,破産その他法的手続きの申し立て等が含まれます。


<売買契約における条項例>

第〇〇条
買主において下記各号の一つにでも該当したときは、買主は何らの通知を受けなくても売主に対して負担する一切の債務について期限の利益を喪失し、直ちに債務全額を現金で売主に支払う。
1 本契約または個別契約に違反したとき。
2 手形・小切手を不渡りにする等支払い停止の状態に陥ったとき。
3 仮差押え,差押え,仮処分,競売などの申し立てを受けたとき。
4 破産,民事再生,会社更生,特別清算等の申し立てをうけたとき。
5 その他前各号に類する不信用な事実があったとき

それ以外にも、

公租公課の滞納処分を受けたとき
関係官庁から営業停止処分や営業の許可取り消し処分を受けたとき

などが考えられます。上の条項例は、いずれも喪失事由について債権者からの通知や請求を不要とし、一律自動的に期限の利益を喪失させる旨を規定していますが、事由の性質により、当然に期限の利益を喪失する事項と債権者からの通知や請求により期限の利益を喪失する事項とに分けて規定する場合もあります。


契約解除

契約の解除とは、完全に有効に契約が締結された後に、契約当事者の一方だけの意思表示により契約関係を遡及的に消滅させる(はじめからそんな契約はしていないことにする)ことをいいます。このような意思表示をなす権利を解除権と呼びますが、契約当事者の誰にでも解除権があって、いつでも意思表示できるわけではありません。解除権には、法律によって解除権が与えられる「法定解除権」と、当事者が合意により決めた「約定解除権」があります。法定解除権としては、一般的な債務不履行による解除権のほかに、各契約類型により個別に解除権が規定されています。約定解除権は、実務的には契約を継続し難い事由の発生を当事者が事前に想定し、約定解除事由としてあらかじめ契約に規定しておきます。

なぜ解除条項が必用か

法律によって定められている解除の要件だけでは必ずしも明確ではなく、実務上ではさまざまな解除事由が想定されます。契約の解除は契約の終了という当事者にとって重大の効果をもたらすことになるため、解除権発生事由,解除手続き,解除の効果などについて、あたかじめ当事者間で明確に合意し、契約書に規定しておく必要があります。

条項例

解除権の発生事由としては、法定解除権発生の事由となる一般的な債務不履行のほかに契約の継続に支障をきたす事由があげられます。機縁の利益の喪失と重複する場合も多くなります。
<期限の利益の喪失事由を解除権発生事由とする例>

第〇〇条
本契約当事者のいずれかが第○○条第○○号(期限の利益の喪失条項)の一つにでも該当したときは、相手方は何ら催告なくしてただちに本契約を解除することができる。


損害賠償

契約の一方当事者が債務を履行しない場合、その債務を履行しないことによって損害が生じていれば損害賠償を請求することができます。一般的な理解としては、債務不履行の事実があること,債務者に帰責事由があること,債務不履行と因果関係のある損害が発生していることが要件とされています。実務においては、相手方の契約違反に基づき生じた損害の賠償を請求することができる旨の規定を設けることが多いです。
<一般的な損害賠償責任の例>

第〇〇条
本契約の当事者が、本契約に定める義務の全部もしくは一部を履行せず、または、本契約に違反して、他の当事者に経済的損害を与えた場合、損害を被った当事者は損害を引き起こした当事者に対して損害賠償を請求することができる。

一般には相当因果関係を有する損害(当事者が通常予見可能な範囲での損害)の賠償請求が認められているとされています。実務的には、契約締結の段階で損害賠償の金額を予見したり、的確に把握することも難しいほか、契約で損害賠償の予定を規定していても、賠償金額が必ずしも予定金額の範囲に収まるともかぎりません。また、あまりにも高額または低額の予定をすると公序良俗違反により無効とされるおそれもあります。損害賠償金額は必ずしも当事者が約束した金額に合致するとは限らないことになる点は注意を要します。このようなことから、一定の場合を除き、損害賠償の範囲については特に規定を設けず、損害賠償の請求権のみを規定する場合も多くあります。また、損害賠償の範囲を限定するため、間接損害の除外や上限を設定という手法もあります。


不可抗力免責事項

戦争,内乱,地震などの災害等、当事者の責めに帰さない事由により当事者の一方または双方の債務が履行できない場合、過失責任の基本原理から、当該当事者は債務不履行責任や不法行為責任を免れると理解されています。しかし、不可抗力免責が認めれるとして、不可抗力の具体的範囲は明確ではなく、一般に戦争,内乱,大災害をいうとされていますが、実務上においても常にこのような場合に限定された意味で用いられているわけではありません。不可抗力免責は債務者が不履行責任を免れるという、当事者にとって契約上重要な効果をもたらすため、どういった事由が不可抗力に含まれるか、不可抗力事由が生じた場合どのように対処するか、どのような範囲の責任を不可抗力により免れるのか、不可抗力免責が生じた場合の相手方の債務や残存契約はどのように取り扱うのか等について、契約上明確に規定しておくことが必要です。

第〇〇条
地震,津波,台風,暴風雨,洪水その他の天災地変,戦争,暴動,内乱,火災,法令の改廃制定,公権力による命令処分,ストライキその他の労働争議,輸送機関の事故,その他当事者の責めに帰し得ない事由による契約の全部または一部の履行遅滞,履行不能または不完全履行を生じた場合は、当事者はその責に任じない

例示列挙する不可抗力事由の範囲としては、ありとあらゆる事項を慎重に吟味,検討する必要があります。しかし、現実の契約実務においては、契約当事者双方の立場で不可抗力の範囲は異なるケースが考えられ、最終的には対象物や市場の特性等を考慮して決せられることが多いと思います。その他に、契約締結後の環境変化により一方当事者の債務履行が困難となった場合に契約条件の変更を認める条項を規定する場合もあります。


有効期間

賃貸借契約や雇用契約のように、契約期間が当事者の合意内容として決定的な要素となる契約類型の場合はもちろん、継続的契約全般については当事者の期待や予測可能性を担保するために、契約書で有効期間を規定しておく必要があります。継続的契約で期間の定めのない場合は、法律上、一方的な意思表示によって契約を終了させる権利が当事者に与えられており、一定の催告期間が設けられているものの、契約の存続を希望している当事者にとっては予期せぬ解約申し入れにより契約が終了してしまう事態が生じるおそれがあります。実務上も継続的契約については経済情勢の変化などに応じて条件を適宜見直していく必要がある場合が多く、一度規定した条件が半永久的に存続するような契約は現実的ではありません。
<自動更新の例>

第〇〇条
本契約の有効期間は○○年○○月○○日から××年××月××日までの△年間とする。ただし、期間満了の〇カ月前までに本契約当事者のいずれからも反対の意思表示がないときは、本契約は同一の条件でさらに△△年間自動的に継続更新されるものとし、以降もまた同様とする。

<合意による更新の例>

第〇〇条
本契約の有効期間は○○年○○月○○日から××年××月××日までの△年間とする。ただし、期間満了前に本契約当事者が書面により合意した場合、本契約は同一条件で当該合意された期間継続されるものとし、以降もまた同様とする。


権利義務の譲渡

契約に基づく権利を譲渡するということは、相手方に対して有する当該契約から生じた債権を第三者に譲渡することであり、義務の譲渡(引き受け)とは相手方に対して負担する当該契約から生じた債務を第三者に引き受けさせることです。これら権利義務の譲渡が相手方当事者の承諾なく行われてしまうことになり、契約の当事者が実質的に変更してしまうことになるので、契約には権利義務の譲渡を禁止する規定を設ける場合も多いです。
<権利義務譲渡禁止の例>

第〇〇条
本契約当事者は、相手方の事前の書面による承諾なくして本契約に基づく権利を第三者に譲渡し、義務を第三者に引き受けさせることができない。

ただし、債権は債権者の意思で自由に譲渡できることが原則なので、相互に権利義務の譲渡を禁止する条項を設けた場合、債権者としてはみずからが有する権利を排除することになります。したがいまして、将来、債権の流動化の必要がある場合には、権利を制限する条項を設けることは適切ではない場合もあります。


紛争解決

契約当事者間の紛争解決方法として、まずは当事者間の協議により解決することが望ましいですが、協議により解決しない場合には紛争処理手続きへと進むことになります。紛争処理手続きは大きく裁判手続きと裁判以外の紛争処理手続きに分けることができます。紛争解決の条項として規定しておく主な事項は、どのような紛争処理手続きを適用するか,及び適用する手続き機関の所在地(管轄地)をどこにするかです。


反社会勢力との関係遮断

多くの企業が、企業倫理として暴力団を始めとする反社会的勢力と一切の関係をもたないことを掲げ、さまざまな取り組みを進めています。暴力団等反社会的勢力との関係を遮断することが企業経営の方針ともなっているため、暴力団等反社会的勢力と取引することを禁止する条項を設けることが必要です。
<反社会的勢力排除のための条項例>

第〇〇条
本契約当事者は、相手方に対し、本契約締結以前および本契約期間中において、自己および自己が実質的に経営を支配している会社が次の各号に該当し、かつ各号を尊守することを表明し、保証し、誓約する。
        (1) 反社会的勢力(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」に定義する暴力団およびその関係団体またはその構成員。総会屋,社会運動標榜ゴロ,政治活動標榜ゴロなど暴力,威力,脅迫的言辞や詐欺的手法を用いて不当な要求を行い、経済的利益を追求する団体もしくはその構成員または個人。以下、「反社会的勢力」という)でないこと。
        (2) 主要な出資者、役職員または実質的に経営に関与する者が反社会的勢力でないこと。
        (3) 反社会的勢力を利用しないこと。
        (4) 反社会的勢力に財産的利益または便宜を供与しないこと。
        (5) 役員等が反社会的勢力と親密な交際や密接な関係がないこと。
2 本契約当事者は、前項について自己の違反を発見した場合、直ちに相手方にその事実を報告するものとする。
3 本契約当事者は、相手方が前各項に違反した場合、催告その他何らの手続きを要することなく、直ちに本契約および個別契約の全部または一部を解除することができるものとする。この契約解除は損害賠償の請求を妨げるものではない。なお、契約解除を行った当事者は、当該解除によって相手方に生じた損害につき賠償する責に任じるものではない。

内容としては、相手が暴力団等反社会的勢力でないことを確認するか、相手からそうでない旨の確認を得ることになります。もし、相手が暴力団等反社会的勢力であることを知らずに契約を締結し、取引を行った場合には、相手が暴力団等反社会的勢力であることを知った時点で契約を解除することができるように、条項を用意しておくこと、また、その解除は無催告で行えること、解除した側で損害賠償の義務を負わないことを規定しておくことが必用です。


表明保証条項

「表明」とは、一定の事実を当事者が真実・正確である旨を言明する条項で、「保証」とは、保証した事項に反する事情が判明した際には、それにともなう責任を負う旨を約束する条項です。これらは日本の契約書には存在しなかった条項でしたが、徐々に利用されるようになっています。


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1961年11月  大阪市生まれ  神戸市在住

甲南大学理学部卒業
応用数学を学び、システムエンジニアとしてIT関連企業に勤務
2017年  行政書士事務所を開業  現在に至る



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