『特定技能』ビザの取得に必要な申請書類の概要
特定技能ビザ取得のための必要な書類は、就労が可能な他の在留資格と同様に基本的には、申請書類に加えて、在留資格該当性と上陸許可基準省令適合性を満たしていることを立証する書類を提出します。

『特定技能』ビザの取得に必要な申請書類の概要

 
在留資格『特定技能』の概要『特定技能』ビザの取得に必要な申請書類の概要
 

特定技能ビザ申請に必要な書類の概要

就労が可能な他の在留資格と同様に『特定技能』の在留資格も基本的には、在留資格該当性上陸許可基準省令適合性を満たしていることを立証する書類を提出します。ですが、特定技能の場合は、特定技能特有の基準があります。在留資格該当性と上陸許可基準省令適合性を判断する基準として、「特定技能雇用契約及び一号特定技能外国人支援計画の基準等を定める省令」(特定技能基準省令)や産業分野ごとの運用方針や上乗せ基準など、より詳細な基準が設けられています。その点が他の在留資格と異なります。

在留資格該当性
在留資格該当性とは、外国人が日本で行う予定の活動内容が、入管法上、在留資格毎に規定されている「行うことができる活動内容」と一致していることを言います。
1号特定技能の在留資格で規定されている活動は、要約すると「法務大臣が指定する本邦の公私の機関との雇用に関する契約に基づいて行う特定産業分野であって、相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動(1号特定技能)」となります。


上陸許可基準省令適合性(1号特定技能外国人本人に関する基準)
上陸許可基準省令適合性とは、在留資格該当性があると思われる外国人本人が、日本に上陸するための条件を満たしていること言いいます。
1号特定技能外国人は以下のような基準があります
  1. 年齢
  2. 健康状態
  3. 退去強制の円滑な執行への協力
  4. 保証金の徴収,違約金を定める契約
  5. 費用負担の合意
  6. 送り出し国において遵守すべき手続き
  7. 技能水準,日本語能力
  8. 通算在留期間
  9. 分野特有の基準

 
まとめると
企業等が、受け入れ機関に求められている基準を満たし、適切な支援計画のもと、外国人を支援する体制を整え、上陸許可基準を満たしている外国人本人と適切な雇用契約を締結することにより、在留資格『特定技能』取得の申請(ビザ申請)が可能になり、申請書類に加えて、全ての要件を満たしていることを立証する書類を提出します。

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特定技能外国人を雇用するときに知っておきたいビザ申請手続きの流れ
在留資格『特定技能』の外国人を雇用する(受入れる)には、通常の外国人を雇用する(在留資格を取得する)ための手続きに加えて、『特定技能』特有の手続きが必要になり、事前に確認しておくこと、準備しておくことがいくつかあります。

具体的なビザ申請に必要な書類の概要

・在留資格認定証明書交付申請書(申請前6か月以内に正面から撮影された無帽、無背景で鮮明な申請人の写真(縦4cm×横3cm)を貼付。写真の裏面に申請人の氏名を記載)
・返信用封筒(定形封筒に宛名及び宛先を明記の上、必要な額の郵便切手(簡易書留用)を貼付したもの)
に加えて、要件を満たしていることを立証する書類を提出します。書類は大きく分けて以下のような3種類があります。
  • 申請人本人(外国人)に関する書類
  • 雇用企業(所属機関)に関する書類
  • 産業分野別に関する書類

申請人本人(外国人)に関する書類(海外から日本に来る外国人を採用する場合)の概要
必要書類 留意事項
1.在留申請に係る提出書類一覧表
2.特定技能外国人の報酬に関する説明書(※参考様式第1ー4号) 賃金規定に基づき報酬を決定した場合には賃金規定を添付します。
外国人本人に日本人と同等以上の給料が支払われることを立証します。
3.特定技能雇用契約書の写し(参考様式第1ー5号) 外国人本人が十分に理解できる言語での記載も必要。特定技能基準省令等で決められた内容を記載する必要があります。
4.雇用条件書の写し(参考様式第1ー6号) 雇用契約書の添付書類です。給与や休日、勤務時間など細かな雇用条件を記載します。
1年単位の変形労働時間制を採用している場合は以下のものも添付
(1)申請人が十分理解できる言語が併記された年間カレンダーの写し
(2)1年単位の変形労働時間制に関する協定書の写し
5.賃金の支払いに関する資料(参考様式第1−6号 別紙) 外国人本人が十分に理解できる言語での記載も必要です。
外国人本人の基本的な賃金や手当の額等、また、賃金支払時に控除する費用などあれば記載します。
6.雇用の経緯に係る説明書(参考様式第1−16号) 雇用契約の成立をあっせんする者がある場合には、職業紹介事業者に関する「人材サービス総合サイト」(厚生労働省職業安定局ホームページ)の画面を印刷したものを添付します。
7.徴収費用の説明書(参考様式第1ー9号)
8.健康診断個人票(参考様式第1ー3号) 参考様式以外の様式での提出も可能ですが、参考様式にある受診項目が記載されているものに限ります。外国で受診した場合は、日本語訳の添付が必要です。
9.受診者の申告書(参考様式第1ー3号 別紙) 通院歴や入院歴等を医師に申告した上で医師の診断を受けたことを誓約する書類です。
10.1号特定技能外国人支援計画書(参考様式第1ー17号)
11.登録支援機関との支援委託契約に関する説明書
(参考様式第1−25号)
支援計画の実施の全部を登録支援機関に委託する場合に限り必要になります。
12.二国間取り決めにおいて定められた遵守すべき手続きに係る書類 カンボジア,タイ,ベトナムの国籍のみ提出が必要(令和4年3月現在)。書式については出入国在留管理庁HPを参照ください。
その他に、留学生や他の在留資格をもって既に日本に在留している外国人を特定技能に変更する場合には、追加で以下のような資料が必要になります。
  • 外国人本人の直近1年分の個人住民税の課税証明書及び納税証明書
  • 外国人本人の給与所得の源泉徴収票
  • 外国人本人の国民年金保険料領収証書の写しまたは被保険者記録照会
  • 公的義務履行に関する誓約書(税金等の滞納がある場合のみ)
など。

※参考様式については以下を参照ください。
参照:
特定技能関係の申請・届出様式一覧|出入国在留管理庁

雇用企業(所属機関)に関する書類の概要
必要書類 留意事項
法人の場合 個人事業主の場合
1.特定技能所属機関概要書(参考様式第1ー11号) 1.特定技能所属機関概要書(参考様式第1ー11号) 記載内容に応じて以下の資料の添付が必要な場合があります。
「支援責任者の履歴書(参考様式第1−20号)」
「支援担当者の履歴書(参考様式第1―22号)」
2.登記事項証明書 取得後3ヶ月以内のものが必要
3.業務執行に関与する役員の住民票の写し 2.個人事業主の住民票の写し マイナンバーの記載がなく、本籍地の記載があるものに限ります。
4.特定技能所属機関の役員に関する誓約書
(参考様式第1ー23号)
特定技能外国人の受入れに関する業務執行に関与しない役員がいる場合のみ必要になります。
5.労働保険料等納付証明書(未納なし証明) 3.労働保険料等納付証明書(未納なし証明) (1)初めての受入れの場合
労働保険料等納付証明書(未納なし証明)
(2)受入れ中の場合、以下@,Aのいずれか
@労働保険事務組合に事務委託していない場合
労働保険概算・増加概算・確定保険料申告書(事業主控)の写し及び申告書に対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し 直近2年分
A労働保険事務組合に事務委託している場合
労働保険事務組合が発行した直近2年分の労働保険料等納入通知書の写し及び通知書の対応する領収証書(口座振替結果通知ハガキ)の写し 直近2年分
6.社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
  申請の日の属する月の前々月までの24ヶ月分
4.次の(1),(2)のいずれかの場合に応じた書類
(1)健康保険・厚生年金保険の適用事業所
・社会保険料納入状況回答票又は健康保険・厚生年金保険料領収証書の写し
申請の日の属する月の前々月までの24か月分が必要
(2)健康保険・厚生年金保険の適用事業所でない場合
・個人事業主の国民健康保険被保険者証の写し
それぞれについて、記号・番号を申請人側でマスキング(黒塗り)すること
・個人事業主の国民健康保険料(税)納付証明書
初めて受け入れる場合には直近1年分、受入れ中の場合には直近2年分
それぞれについて、記号・番号を申請人側でマスキング(黒塗り)すること
・個人事業主の国民年金保険料領収証書の写し又は被保険者記録照会(納付U)
被保険者記録照会回答票を含む
申請の日の属する月の前々月までの24か月分が必要
それぞれについて、記号・番号を申請人側でマスキング(黒塗り)すること
7.税務署発行の納税証明書(その3) 5.税務署発行の納税証明書(その3) 法人の場合
 ・税目は「@源泉所得税及び復興特別所得税」「A法人税」「B消費税及び地方消費税」
 ・@について、「申告所得税」ではなく「源泉所得税」となります。
個人事業主の場合
 ・税目は「@源泉所得税及び復興特別所得税」「A申告所得税及び復興特別所得税」「B消費税及び地方消費税」「C相続税」「D贈与税」
8.次の(1),(2)のいずれかの場合に応じた書類
(1)初めての受入れの場合
 ・法人住民税の市町村発行の納税証明書 直近1年分
(2)受入れ中の場合
 ・法人住民税の市町村発行の納税証明書 直近2年分
6.次の(1),(2)のいずれかの場合に応じた書類
(1)初めて受入れの場合
 ・個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書 直近1年分
(2)受入れ中の場合
 ・個人事業主の個人住民税の市町村発行の納税証明書 直近2年分
9.公的義務履行に関する説明書(参考様式第1ー27号) 7.公的義務履行に関する説明書
(参考様式第1ー27号)
法人の場合上記5.〜8.
個人事業主の場合上記3.〜6.
までに関し、提出不要の適用を受ける場合に必要

産業分野別に関する書類
産業分野別に関する具体的な追加資料については、出入国在留管理庁のホームページに公開されています、以下を参照ください。

在留資格『特定技能』の基本的なこと

在留資格『特定技能』とは
特定技能は特に人手不足の著しい(生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある)産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格です。また、
特定技能には『特定技能1号』と『特定技能2号』の2種類があり、「特定技能1号」は、特定産業分野に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格であり、「特定技能2号」は、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格です。

ここでいう1号の「相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する」とは、『相当期間の実務経験等を要する技能をいい 、特段の育成・訓練を受けることなく直ちに一定程度の業務を遂行できる水準』のことをいいます。一方、2号の「熟練した技能を要する」とは、『長年の実務経験等により身につけた熟達した技能をいい、自らの判断により高度に専門的・技術的な業務を遂行できる、又は監督者として業務を統括しつつ熟練した技能で業務を遂行できる水準』のことをいいます。


受入れ分野(特定産業分野)
特定技能の在留資格は、雇用できる(働くことができる)業種,従事できる業務が決められています。
これは、『生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお、人材を確保することが困難な状況にある産業上の分野(特定産業分野)に限り、不足する人材の確保を図るために、即戦力となる外国人を受け入れる』という、特定技能制度創設の目的によるものです。具体的な特定産業分野は、次のとおりです。
@介護分野 Aビルクリーニング分野 B工業製品製造業分野 C建設分野 D造船・舶用工業分野 E自動車整備分野 F航空分野 G宿泊分野 H自動車運送業分野 I鉄道分野 J農業分野 K漁業分野 L飲食料品製造業分野 M外食業分野 N林業分野 O木材産業分野

特定技能1号は上記の16分野が特定産業分野に該当し、特定技能2号は下線の11分野になります。


特定技能所属機関(受入れ機関)とは
特定技能外国人を実際に受け入れる(雇用する)企業や団体のことを「特定技能所属機関」や「特定技能受入れ機関」あるいは単に「受入れ機関」などといいます。「受入れ機関」は在留資格『特定技能』を有する外国人と直接雇用契約を締結することになります。

登録支援機関とは
特定技能外国人の受入れ機関から委託を受けて、当該外国人に対して様々な支援を実際に行う出入国在留管理庁の登録を受けた機関です。受入れ機関は、当該外国人に対して業務や日常生活を円滑に行えるように、支援計画を作成し当該支援計画に基づいて支援を行うことが義務付けられていますが、支援の実施を登録支援機関に委託することもできます。

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特定技能外国人を雇用するときに知っておきたいビザ申請手続きの流れ
在留資格『特定技能』の外国人を雇用する(受入れる)には、通常の外国人を雇用する(在留資格を取得する)ための手続きに加えて、『特定技能』特有の手続きが必要になり、事前に確認しておくこと、準備しておくことがいくつかあります。

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特定技能外国人を雇用するために企業が整える要件
特定技能外国人を雇用する場合、自社が法令や省令を遵守し、当該外国人と適切な雇用契約を締結し、当該外国人の日本での職業生活上はもちろん、日常社会生活を含めて支援できる体制を整える必要があります。

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在留資格『特定技能』の概要
特定技能は特に人手不足の著しい(生産性向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材を確保することが困難な状況にある)産業上の分野において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れるための在留資格です。

ビザ申請,在留手続き等で困り事はありませんか?。専門家への相談が近道です。


外国人ご本人や事業主の状況に応じた必要書類を調べることや、不慣れな申請書類作成には時間と労力がかかります。在留手続きの申請ごとに必要となる書類を見極め、適切な書類を選定し、許可要件を満たしていることを法律に基づき論理的に説明した資料を作成し、説明不足による不許可リスクを低減します。当オフィスでも申請書類作成から申請手続きまで一括して代行いたします。