契約や合意(約束)をやめたい ―無効や取消について

契約や合意(約束)をやめたい −無効や取消し、解除について

一旦契約を締結すると(約束すると)、その契約の当事者はその契約に拘束され、その内容を守る義務を負います。原則、契約書や合意書等の書類が「有る」とか「無い」とかは関係ありません。後から、「やっぱり気が変わった」、「やっぱりちょっと納得できない」等の理由で一方的にやめることはできません。もちろん契約の相手方が「そんなに言うのなら無かったことにしましょう」、「それならそういうことにしましょう」と同意してくれる場合は別です。「一旦有効に成立した契約を無かったことにする」という新しい別の契約(合意)が成立したということになります。

Detail


無効にしたい

専門家が書類を作成する場合、無効とならない書類の作成を心掛けています。契約書や合意書等の書類について、「無効にならないかなぁ」といったお話を聞くことがありますが、一方的に「無効にしたい」つまり、「最初からなかったことにしたい」というようなことは、簡単にはできません。


そもそも無効とは

「無効」とはそんな約束は初めから存在していません。言葉をかえて言うと、契約の効果は最初から全く生じていなかったということです。初めから存在していないのだから、いつまでたっても無いままです。時間が過ぎても有効になることはありません。存在していないものを取消す(解除する)こともできません、無効にすることもできません。当事者が有効にしても良いと思っても有効にできません。


無効と取消し

「無効」とは初めから効力のある契約(約束)は、成立していない(そんな約束は存在していません)ということです。上で記述しているような「一旦有効に成立した契約を無かったことにする」ということは、契約自体は有効に成立したが、当事者同士の話し合いで無かったことにします。ということで、「無効」ではなく「有効な契約」をお互いが合意して取消す(解除する)ということになります。


無効になる場合とは

無効となる場合、つまり有効とならない場合というのは、契約当事者に関する要件と契約の内容に関する要件とがあります。


契約当事者に関する要件

契約当事者が自分の行為の性質や結果を判断することができる精神的能力を有していることが必用です。例えば乳幼児や精神障害者との契約は無効です。その他虚偽表示や錯誤による契約があります。


契約の内容に関する要件

まず契約の内容が確定している必要があります。どんな約束の内容かはっきりしないような契約は無効となります。内容が確定していても、違法な内容であれば無効です。また、公序良俗に反する内容、社会的に著しく妥当性を欠く内容は無効です。契約を締結した時点で実現の可能性が無いような内容の契約は無効となります。


一方的に「無効にしたい」つまり、「最初からなかったことにしたい」ということは、言葉を変えて言うとすれば、「有効に成立した契約を取消し(解除し)たい」ということです。(虚偽表示や錯誤を理由として無効を主張する場合もあります。)


取消したい

無効の欄でも記述しましたが、「契約したけど、やっぱりやめたい」ということは、「無効にする」ということではなく、「有効に成立した契約」を後から取消す(解除する)ということです。


そもそも取消とは

いったん有効に成立した契約や合意を、取消すことができる当事者が取消すことができるということです。取消をしなければ、契約は有効なまま継続します。取消した場合は、契約は最初に遡って無かったことになります。最初から無かったことになるという点では無効と同じです。ただ、いつでも誰でも取消すことができるのであれば、契約自体、あまり意味がないようになってしまいます。なので、取消しができる場合というのが限られています。


取消しできる場合とは

未成年者や成年被後見人、被保佐人などの制限行為能力者が単独でした契約です。(制限行為能力者が単独でした契約でも取消しができない場合もあります。)次に、詐欺や強迫によってした契約です。(その他、消費者契約法、特定商取引法にも取消し制度があります。)取消しができる場合でも、「いったんは有効に成立しています。ただし取消すことができます。」という状態が続けば、契約の当事者は不安定な状態が続きます(いつ取消されるのかはっきりしない)。そこで、取消しができる場合でも、取消しができる期間が制限されています。その期間がすぎれば、完全に有効な契約として成立し、取消すことができなくなります。


でも、やっぱりやめたい

「無効となる」、「取消すことができる」という契約は限られています。無効原因もなく、取消し原因もない契約は有効に成立します。いったん有効に成立した契約は簡単には無かったことにはできません。契約当事者が話し合って、「無かったことにしましょう」という合意が得られれば、「無かったことにする」という新しい契約を締結することになります。あるいは、契約内容に「こういった条件が整えば、この契約は無かったことにします。」とうい内容を盛り込んでおく。その場合でもその条件が成立しない状態で、一方的に「やめます」は簡単ではありません。


解除について

完全に有効に成立した契約(無効となる原因がなく、取消し原因もない契約)であっても、解消することができる場合があります。そのような場合を契約の解除といいます。このページの最初の方でも記述しましたが、契約当事者同士が話し合って「無かったことにしましょう」と合意すれば、それでやめること(契約の解除)ができます。それ以外には、上でも記述しましたが、契約を締結するときに、やめる(解除する)条件を決めておき、その条件が整えば解除できます。ただしその条件が当事者間においてあまりにも不公平であれば解除が認められない場合もあります。以上の2つは当事者同士の話し合いで(契約の内容を話し合うことも含めて)決めることができます。あと一つは、当事者同士の話し合いに関係なく、法律の規定により解除できる場合があります。法律の規定による解除で典型的なものは、契約の中で決めていた約束を守れなかった場合(債務不履行)です。「約束の期限になっても何もしてくれない。だから催促したけどやっぱり何もしてくれない。」あるいは、「期限はまだ来ていないけど、既に約束を守れなくなった」といった場合です(いづれの場合も約束を実行する側に責任があるということが必要ですが)。契約が解除されると、約束する前の状態に戻ります。つまり、「そんな約束はありませんでした。」ということになります。

いづれにせよ、一旦約束が成立(有効な契約を締結)した場合、「やっぱりやめた」は簡単ではありません。契約書や合意書等に署名する場合は、内容をよく確認してから署名することを心掛けましょう。



文書作成に関するサービス,お問い合わせのご案内

文書作成に関するサービスのご案内

 

どういった文書を残せば良いかわからないが、金銭,家庭,家族,仕事等、とにかく「約束したこと」,「取り決めたこと」を後々のトラブル防止のため文書として残しておきたい。ビジネス,プライベートそれぞれのご相談,ご依頼内容に応じて、契約書,合意書,念書,覚書,誓約書等、無効とならない最善の文書作成をサポートします。
こちら参照


service


お問い合わせのご案内

 

簡易な内容であれば、無料相談内で対応可能です、まずはお問い合わせください。費用が発生する場合は、別途お見積り致します。その場でのご判断,ご返答は必要ございません。十分ご検討の上、ご連絡下さい。その他、サービス内容,料金,作業の進め方等、ご不明点,疑問点についてもお気軽にお問い合わせください。

About us


お問い合わせは
Tel 078-599-8780 Fax 078-599-8781(営業時間 平日9:30〜17:30)
※)事前にご予約を頂ければ営業時間外でも対応致します
又は当ホームページお問い合わせフォームからお問い合わせください(お問い合わせフォームからは24時間受付)
Contact us



契約書や合意書に関連する記事

契約書作成の意義と契約
皆様は日々の暮らしで契約を意識することはあまりありませんが、色々な契約をしながら暮らしています。しかし、書面を作成することはほとんどしていません。原則、契約の成立に書面は必要ありません。では、何故契約書が必用なのでしょうか?
こちらを参照

契約書,合意書等のタイトルの違いと効力
タイトルは作成するケースによって使い分けているだけで、その効力は書かれている内容によって判断します。つまり書かれている内容が当事者の関係を規定し、表題は当事者の関係を規定しません。
こちらを参照

権利義務文書の法的効力について
契約書,合意書,覚書等の権利義務文書に法的効力が「有る」とか「無い」とかといったことについて。文書の存在やそのタイトルが法的効力の有無を決めるのではなく、その文書に書いてある内容が法的効力の有無を決めます。
こちらを参照

金銭消費貸借契約書
お金の貸し借りは文書が無くても口約束だけで成立するので、友人,知人など個人間の貸し借りのときは文書を作らずに貸し借りを行うこともあり、そのため後々トラブルとなる事例はよくあります。金銭消費貸借契約は、契約そのものが単純なのでメモ書き一枚でも効力を有することもあります。
こちらを参照

債務承認弁済契約書
お金の貸し借りのときに何も文書を残していないといった場合でも、借主の協力で後から文書を作成することはできます。法的問題もありません。
こちらを参照

権利義務文書に関するサービス案内

service

契約書作成サービス
事業形態,取引状況,新規事業立ち上げ,新規取引,約束,取決め事等、ビジネス,プライベート夫々のご相談内容に応じて適切な契約書をご提案、作成します。

契約書チェックサービス
「雛型を利用して作成した」,「以前作成した契約書を利用して修正を加えた」等、お手元の契約書に不安,疑問がでてきたとき、契約書の内容をチェックします。

合意書や覚書作成相談サービス
将来発生するかもしれない紛争を未然に防ぐためや解決した紛争の再発を防ぐために作成する合意書や覚書。曖昧な記憶や都合の良い解釈による紛争を防ぐために文書を残すことは大切です。プライベート,ビジネス夫々のご相談、ご依頼内容に応じて、お互いの権利義務を明確にし、適切な合意書,覚書の作成を神戸の行政書士が代行します

念書の作成、内容チェック、相談
念書は合意書や契約書と違い当事者の一方のみが作成し、他方当事者に差し入れます。受け取った側は、内容に異議を申し出ない場合は、記載された内容を了承したものとみなされます。差し出す側に都合のよい事実のみが記載されている場合は、速やかに修正を求めることが大切です。念書の作成,内容チェックをサポートします。

ABOUT US

About us

サイト運営

行政書士オフィス辻下

所在

〒650-0022
兵庫県神戸市中央区元町通6-8-19  804号
TEL 078-599-8780
FAX 078-599-8781

サイト管理者

行政書士 辻下仁雄
1961年11月  大阪市生まれ  神戸市在住
甲南大学理学部卒業  応用数学を学び、
システムエンジニアとしてIT関連企業に勤務
2017年  行政書士事務所を開業  現在に至る



このページの先頭に戻る


TOP −業務案内− −オフィス案内− −お問い合わせ−