契約書,合意書,覚書や念書等の権利義務文書の法的効力について

契約書,合意書,覚書や念書等の権利義務に関する文書の法的効力について

法的効力をどのように捉えるか

例えば、「お金の貸し借りがあって、約束した時期に返済がなかった」という場合、なんとか返済してもらうためには裁判を行うことになりますがそのとき、文書があれば、裁判で「お金を貸した、借りた」という事実があったことを証明するための材料(証拠)にすることができます。裁判上、証拠として有効(役に立つ)という意味では、「法的効力」があるということになります。それは契約書や覚書、念書等を問いません。
一方、契約書や覚書、念書等があるということが、法律上の権利や義務が発生するための条件(要件)という意味では、「法的効力」はありません(契約書や覚書、念書等の文書があるということが、法律上の権利や義務が発生するための条件(要件)ではありません。ただし例外もあり、書面を必要する場合もあります)。「貸したお金を返せ」という請求する権利は契約書や覚書、念書等の文書があるから請求権があるのではなく、そこに書いてあるような事実があるから請求権があるということです。その事実を証明するための有効な手段として文書が存在します。

Detail


文書に法的効力が「有る」とか「無い」とか

法的効力の意味

「関係当事者の間で法律によって認められている権利を新たに取得するとか、既に取得している権利を失うとか、新たに義務を負う、負わない」といった法律上の権利義務の取得・喪失・変更を生ずることを「法的効力」と考えます。そうすると、「法的効力」が有るとは、そういった権利義務が生じ、「法的効力」が無いとは、そういった権利義務が生じないということです。「法的効力」の有る無しに文書の存在は関係ありません。法律上の要件を満たせば、権利を取得し義務を負います(文書の存在を必要とする場合もあります)。お金の貸し借りで考えると、返す約束でお金を借りて、実際に金銭を受け取れば、貸した方は法律上認められた「返せという権利」を取得し、借りた方は「返す義務」を負います。つまり法的効力の有る約束をしたということです。また、例えば、友達との帰り際に「また会おうね」という約束をした場合、法律上の権利や義務を生じるとは考えられません。法的効力の無い約束だと思います。

 

文書の存在

契約書や合意書,覚書、念書等の文書があるだけでは法的効力はありません。契約書や合意書,覚書、念書等の文書は当事者同士の合意事項(約束した内容)を記載した文書として存在しています。合意が本当にあったから記載内容の権利義務を有します。そもそも合意がなければ、いくら文書が存在しても権利や義務が発生することはありません。そこに記載されている内容の合意が本当にあったという事実を証明する証拠として作成されます。証拠としての効力を生ずるためには記載内容に不備があってはいけません。金銭の貸し借りに例えると、「返す約束でお金を借りた」という事実と「実際に金銭の受け渡しがあった」という事実が必要となります。相手方と争うようなことになったとき、文書の内容から「お金を貸します、借ります」という約束をした事実は確認できるけど、「実際にお金の受け渡しがあったかどうか確認できない」というような内容であれば、法的効力を生じない、つまり「返せという権利が生じない」という可能性がでてきます。そうすると、その文書(契約書でも、合意書、念書でもかまいません)には法的効力が無いと考えることもできます。また、記載内容に嘘はないけど、その内容が不法行為だとか公序良俗に反するような内容であれば、当然、法律によって認められていることはないので、権利や義務は生じません。ただ、繰り返しになりますが、文書の存在やその文書のタイトルが法的効力の有無を決めるのではなく、その文書に書いてある内容(法律によって認められている権利や義務の生ずる内容)の事実が本当にあったのか無かったのかが法的効力の有無を決めます。

 

文書の法的効力

「お金を返してもらう約束で貸した。実際に金銭を渡した」という内容の「約束(契約)」に法的効力があるかといえば、その「約束(契約)」には法的効力があります。その約束の内容を記載した「文書」(契約書でも合意書でも念書でもかまいません)に法的効力があるかといえば、法的効力があることを証明するのに有効です、ということです。

 

法的拘束力について

ここでは契約(約束)における法的拘束力について考えます。法的拘束力があるとは、その約束を守る義務があるということで、相手方が守らなかった(義務を果たさなかった)場合には、国(裁判所)の協力を得て、その結果を実現してくれることと考えます。国(裁判所)の協力を得るには、その結果を求める権利がある(つまり、約束した内容に法的効力がある)ことが前提で、その権利を認めてもらう有効な証拠として文書(契約書、合意書、覚書や念書)を作成するということです。「お金を返す約束で貸した」という事実があれば、返還を請求する権利があるということです。相手方が素直に返してくれれば、何も問題ありません、それまでです。ただ、相手方が返してくれなかったとき、裁判所が協力して貸した事実があったかどうか判断します。事実が認められれば、返せという権利が認められ、返せと命令してくれますし、強制もしてくれます。事実が無いと定まれば、返還を請求する権利が無いことになります。このことは、「貸したにもかかわらず、返還請求権がない」ということではなく、「貸した事実がないことになってしまった(貸した事実が認められなかった)から返還を請求する権利もない」ということです。「法的拘束力」が有るとか、無いとかは取得した権利を実現するためや、負った義務を果たしてもらうために国(裁判所)の協力を得ることができるかどうかということです。

 

「合意書,覚書や契約書に署名したけどやっぱりやめたい」といった内容についてはこちら>>


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1961年11月  大阪市生まれ  神戸市在住

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2017年  行政書士事務所を開業  現在に至る

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