借用書や金銭消費貸借契約書はお金の貸し借り時に作成するのに対して、お金を貸した後から作成するのが債務承認弁済契約書と呼ばれる文書です。後から作成しても法的問題もありません。お金を貸すときに文書など作成せずに貸したけど、約束の時期になってもなかなか返してくれないなど、不安があるのであらためて文書を作成したいといったときに作成します。ポイントは
「借主が確かに○○円のお金を借りていて返す義務があります。」ということを認めてもらい、そのことを文言として明記することです。そのためには、借主の協力が必要です。借主と話し合い、文書を作ることを条件に返済期間の延長や支払い方法の変更(分割払いOK)等、貸主側が譲歩することも検討し、最終的に取り決めた内容を文書にします。
取り決めの要点としては金銭消費貸借契約書と同様
です。
一番大事な「返済義務を認めてもらう」ことですが、冒頭でも書きましたが、たった一行のメモ書きが効力を有します。そのメモ書きを原契約として、債務承認弁済契約書や借入金に関する覚書,借入金支払いに関する覚書,念書などを後から作成することができます。
大切なポイントは返済すべき借入金があることを承認してもらい、これをどのようにして支払うかを記載します。
債務承認弁済契約書
□□□□を甲、○○○○を乙として、以下のとおり、債務弁済契約を締結する。
第1条(債務の承認)
乙は甲に対し、○○年○○月○○日現在、未払い借入金□□□円の債務を負っていることを承認し、以下の条項に従い弁済することを約した。
第2条(弁済方法)
乙は甲に対し、前条の借入金について、以下のとおり甲の指定する金融機関の口座に振り込む方法により支払うこととする。ただし、振込にかかる手数料は乙の負担とする。
1 ○○年○○月から○○年○○月まで毎月末日限り金□□円
○○○○年○○月○○日
甲)
住所
氏名 印
乙)
住所
氏名 印
利息を付ける場合は、例えば
利息は年○○%とし、毎月末日限りその月分を支払う。
期限の利益喪失条項を付ける場合は、例えば
乙が第2条の分割金の支払を○○回以上怠った場合には、甲からの通知催告がなくとも当然に期限の利益を喪失する。
遅延損害金を付ける場合は、例えば
期限後又は、期限の利益を喪失ときは、以降完済にいたるまで年○○%の遅延損害金を付して支払う。
等を追記します。
「準消費貸借契約書」という文書があります。何度もお金を貸していて、少しは返してもらったけど、まだ返してもらっていない貸金があるといった場合、数口の貸金を1口の金銭消費貸借にまとめる目的で約束しなおす。あるいは、売買代金の支払いや、仕事(請負報酬)の代金をまだ支払ってもらっていない場合、その支払代金を、お金を貸していることにして金銭消費貸借として約束しなおすということです。
金銭消費貸借ではお金を渡すことが必要ですが、準消費貸借ではお金の授受は必要とされていません。当事者の合意だけで成立します。また、成立には書面は必要ではありませんが、作成した方が良いことに変わりはありません。支払期限の延期,あるいは支払いの一部免除などを条件として相手方に話し合いに応じてもらい文書を作成ます。また、保証人を立ててもらう、あるいは執行認諾約款付公正証書を作成するといった約束を加えて、あらためて文書を作成します。
取り決めの要点は、上記の債務承認弁済契約書と同様ですが、重要なことは準消費貸借の場合には、その基本となった債務(貸しているお金,売買代金が未払い,仕事の報酬が未払い等)が有効に成立していることです。基本となった債務が成立していなければ準消費貸借も無効となります。
したがって既存の債務がどのようなものかを特定しておくことが重要です。そして、その既存の債務をしっかりと文書に明記しておくことです。
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