業務委託契約の解除合意書の条項例
業務委託契約の解除合意書はお互いが契約解除に合意したことを証明する書面です。法律上必ず作らなければならないというものではありません。また、作らなければ契約を解除できなというものでもありません。後のトラブル防止のため、話し合って合意した内容、特に清算条項を書面にします。
 
ビジネス契約書などの法律文書作成業務委託契約の解除合意書の条項例
 

業務委託契約の解除合意書の条項例

解除しようとしている基の業務委託契約(原契約)に解除に関する条項があれば、基本的にその内容に従って原契約を解除することになります。解除の条項が無い場合や、あってもその条項に当てはまらない解除の場合は法律の規定で解除を図ります。その他の場合を含めて、契約の当事者双方が解除することに合意していることを前提として、その合意内容を解除合意書として書面にします。



解除合意書とはどういった書面か

解除合意書はお互いが業務委託契約の解除に合意したことを証明する書面です。法律上必ず作らなければならないというものではありません。また、作らなければ契約を解除できなというものでもありません。契約を解除する際、支払い済の委託料はどうするのか、損害賠償はどうするのか、委託料はまだ支払っていないけど、既に一部が完了している業務についての報酬はどうするのかといったような取り決めを書面に残しておくことで後々のトラブル防止になります。あくまでも契約当事者の合意が前提になっているので、その合意内容を書面にしたものです。
業務委託契約は民法上、委任契約と請負契約が考えられます。委任契約と考えられる場合は、委託者、受託者どちらからでもいつでも解除できます。ただ、相手側に不利な時期に解除したときは損害賠償が生じることがあります。請負契約と考えられる場合は、仕事が完成していないときは委託者(注文者)はいつでも損害を賠償して解除できます。もちろん損害の賠償は生じないとの合意があれば、賠償の必要はありません。あくまでも合意を前提として作成される書面です。


業務委託契約の契約解除合意書の条項例

業務委託契約の契約解除の合意書は、あくまでも契約当事者の合意を前提として作成するので、解除合意に至るまでに何らかの話し合いがもたれていることが通常です。その話し合いの中でお互いに合意に至った内容を書面にします。が、基本となるポイントは
1.解除する契約の特定
2.清算条項
です。
後は、解除に至った理由を記載します。


基本となる条項例

〇〇〇〇(以下、「甲」という。)と〇〇〇〇(以下、「乙」という。)は、甲乙間の□□□□年□□月□□日付け業務委託契約(以下、「原契約」という。)に関して、解除することに合意し、以下のとおり合意書(以下、「本合意書」という。)を締結する。

【。。。解除に至る理由を記載。。。】

第○○条(解除)
甲及び乙は、本日、原契約を合意解除することを相互に確認する。


第○○条(清算条項)
甲及び乙は、相手方に対するその余の請求をそれぞれ放棄し、本合意書に定めるほか、何ら債権債務がないことを相互に確認する。


本合意書締結の証として本合意書を2通作成し、甲乙相互に署名又は記名,押印のうえ、各1通を保有することとする。

○○○○年○○月○○日
   甲                   印
   乙                   印

本条項例は、甲乙間で締結された業務委託契約(請負契約)を合意解除する際に作成する合意書の例です。話し合った結果、損害賠償や委託料の返還等の金銭の授受がなく、本合意書締結を最終解決とする場合は、本例のような清算条項を記載します。


受領済の委託料の返還を定める場合

第○○条(委託料の返還)
乙は甲に対し、原契約の合意解除にともない、乙が既に受領している委託料〇〇〇円を甲に返還し、甲をこれを受領した。

本条項例は原契約に基づいて受託者に対して委託料が既に支払われている場合に、原契約の解除に伴い支払い済委託料の返還について合意している場合に定めます。本例は解除合意書締結時に返還されることを想定しています。
又は、金融機関の口座振込による返還の場合は以下のように定めます。

第○○条(委託料の返還)
1 乙は甲に対し、原契約の合意解除にともない、乙が既に受領している委託料〇〇〇円の返還義務があることを認めます。
2 乙は甲に対し、前項の金員を○○○〇年○○月○○日限り、甲の指定する金融機関の口座に振り込む方法で支払う。ただし、振込にかかる手数料は乙が負担する。


完了済の業務について報酬を請求する場合

原契約の業務委託契約が請負契約と考えられる場合、業務の完了(成果物の完成)に対して報酬を支払うことが原則ですが、完了前に契約を解除する場合でも、一部完了している部分に応じて報酬を請求することができます。この場合、完了部分を双方確認したうえで、報酬の支払を定めます。もちろん当事者双方の合意が前提です。

第○○条(報酬の支払い)
1 甲及び乙は、本合意書締結時に下記業務が完了していることを確認する。
(1) ○○業務
(2) 〇〇業務
2 甲は乙に対し、前項の代金として○○○円の支払い義務があることを認める。
3 甲は乙に対し、前項の金員を○○○○年○○月○○日限り、1項の成果物の引渡しと引き換えに支払う。

上記例は一部完了の成果物がある場合に、成果物の引渡しと引き換えに支払うことを想定しています。又、既に支払い済の委託料に加えて報酬を支払う場合はその旨も記載します。


損害賠償が発生する場合

第○○条(報酬の支払い)
1 甲及び乙は、本合意書締結時に下記業務が完了していることを確認する。
(1) ○○業務
(2) 〇〇業務
2 甲は乙に対し、前項の代金として○○○円の支払い義務があることを認める。
3 甲は乙に対し、前項の金員を○○○○年○○月○○日限り、1項の成果物の引渡しと引き換えに支払う。

上記例は一部完了の成果物がある場合に、成果物の引渡しと引き換えに支払うことを想定しています。又、既に支払い済の委託料に加えて報酬を支払う場合はその旨も記載します。

2 甲は乙に対し、原契約に基づき既に支払った委託料〇〇〇円に加え、前項の代金として○○○円の支払い義務があることを認める。


その他、契約解除後の処理や守秘義務について

原契約の規定に基づき委託者の物品や資料等が受託者に貸与されている場合は、返還等の原契約終了後の処理ついても規定しておくべきです。

第○○条(貸与物)
乙は、原契約に基づき甲から貸与された資料等の物品を速やかに甲の指示に基づき返還ないし破棄するものとする。

また、秘密保持や守秘義務についても合意解除による原契約の終了後も存続する場合は、その内容も規定しておくべきです。

第○○条(守秘義務)
甲及び乙は、原契約の合意解除後も原契約に基づき相手方から開示された情報を第三者に開示してはならない。

などです。


 

上記の記載例は基本的な内容の条項例です。解除合意書は契約当事者双方の話し合いによる解除についての合意を前提として作成します。


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