


業務委託契約を途中で終了することについて委託者と受託者が合意した場合、「契約を終了する」ということだけでなく、契約終了日までの報酬、途中まで行った業務、成果物、貸与物、データ、秘密保持などをどうするのかについても決めておく必要があります。例えば、
「今月末で業務を終了する」「途中まで行った業務については10万円を支払う」「作成途中のデータも委託者へ引き渡す」「預かっている資料は契約終了日までに返還する」といった話し合いができているのであれば、その内容を解除合意書の条項として具体的にしておくことが大切です。
このページでは、『業務委託契約を合意によって終了するときに考えられる条項例』を、ケースごとに紹介します。
こちらのページで詳しく解説しています。
==>【『契約解除合意書の書き方とポイント』を詳しく見る】
業務委託契約を終了するとき、単に、「甲と乙は業務委託契約を解除する」とだけ書けば十分とは限りません。業務が既に始まっているのであれば、契約終了に伴って処理しなければならない事項が残っていることがあります。例えば、
などです。解除合意書を作成するときは、まず「契約を終了した後に何が残るのか」を整理し、それぞれについて必要な条項を選択していきます。業務委託契約を終了する場合には、解除合意書だけを見るのではなく、元の業務委託契約に中途解約や契約終了時の処理についてどのような定めがあるのかも確認しておく必要があります。
業務委託契約に定める基本的な条項については、【業務委託契約書を作成する時の基本となる条項例】もご参照ください。
業務委託契約の解除合意書を作成するときは、まず、
を明確にします。
解除合意書では、最初に「どの契約を終了させるのか」を特定します。例えば、前文を次のようにします。
〇〇〇〇(以下「甲」という。)と〇〇〇〇(以下「乙」という。)は、甲乙間において令和○年○月○日付けで締結した業務委託契約(以下「原契約」という。)について、これを合意により終了させることとし、次のとおり合意する。
業務委託契約を複数締結している場合には、「業務委託契約」という名称だけでは、どの契約を終了させるのか分からないことがあります。その場合には、「令和○年○月○日付け○○業務に関する業務委託契約」など、対象となる原契約を特定できる記載にします。
次に必要となるのが、原契約を合意によって終了させる条項です。合意書を締結したその日に契約を終了するのであれば、例えば次のように定めます。
第○条(合意解除)
甲及び乙は、本合意書締結日をもって原契約を合意解除し、原契約を終了させることに合意する。
ここでは「解除することに合意した」ということだけでなく、いつ原契約が終了するのかを明確にします。
解除合意書を作成した日に、直ちに業務を終了するとは限りません。例えば、「10月1日に契約終了について合意し、10月31日までは通常どおり業務を行う」というケースもあります。その場合には、合意書を締結した日と契約終了日を分けて記載します。
第○条(合意解除)
甲及び乙は、原契約を令和○年○月○日限り合意解除し、同日をもって原契約を終了させることに合意する。
必要に応じて、
第○条(契約終了日までの業務)
乙は、令和○年○月○日まで、原契約に基づく○○業務を行うものとする。
という条項を組み合わせることも考えられます。「合意した日」と「実際に業務を終了する日」が違う場合には、日付を曖昧にしないことが重要です。
業務委託契約を途中で終了するときには、報酬や委託料の精算が必要になることがあります。「契約を終了する」という合意と、「それまでに発生した金銭をどう処理するか」という合意は分けて考える必要があります。
受託者が既に委託料を受け取っている場合、契約終了に伴ってその全部または一部を返還することがあります。合意書締結時に既に返還する場合には、例えば次のようにします。
第○条(委託料の返還)
乙は甲に対し、原契約の終了に伴い、乙が既に受領した委託料のうち金○○円を返還し、甲はこれを受領した。
後日、銀行振込によって返還するのであれば、支払金額・期限・方法を具体的にします。
第○条(委託料の返還)
1 乙は甲に対し、原契約の終了に伴い、既に受領した委託料のうち金○○円の返還義務があることを認める。
2 乙は甲に対し、前項の金員を令和○年○月○日限り、甲の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は乙の負担とする。
「委託料を返す」とだけ書くのではなく、返還額、支払期限、支払方法まで決めておきます。
反対に、受託者が既に業務を行っているものの、その報酬がまだ支払われていない場合があります。この場合には、契約終了時に未払報酬を確定させます。
第○条(未払報酬の支払い)
1 甲及び乙は、原契約に基づき乙が契約終了日までに行った業務に対する未払報酬が金○○円であることを確認する。
2 甲は乙に対し、前項の金員を令和○年○月○日限り、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。振込手数料は甲の負担とする。
月額報酬の場合には、「令和○年○月分の報酬」など、対象期間を明示する方法もあります。
業務委託契約を途中で終了する場合、業務の一部が既に完了していることがあります。その部分について報酬を支払うことに合意した場合には、どの業務が完了しているのかと、その対価はいくらなのかを明確にします。
第○条(完了済業務及び報酬)
1 甲及び乙は、本合意書締結日現在、次の業務が完了していることを確認する。
(1)○○業務
(2)○○業務
2 甲は乙に対し、前項の業務に対する報酬として金○○円の支払義務があることを認める。
3 甲は乙に対し、前項の金員を令和○年○月○日限り、第1項に定める成果物の引渡しと引換えに支払う。
既に支払った委託料がある場合には、それを含めて最終的な精算額を定める方法も考えられます。
業務委託では、報酬とは別に交通費、材料費、外注費その他の経費を受託者が立て替えている場合があります。契約終了時には、このような費用についても確認します。
第○条(経費の精算)
1 甲及び乙は、乙が原契約に基づく業務のために支出した未精算の経費が金○○円であることを確認する。
2 甲は乙に対し、前項の金員を令和○年○月○日限り、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。
経費の内容が複数ある場合には、別紙に一覧を作成して対象を明確にする方法もあります。
業務委託契約では、契約を終了しても、受託者の手元に成果物、作成途中のデータ、貸与品などが残っていることがあります。そのため、契約終了と同時にこれらをどのように処理するのかも決めておきます。
契約を途中で終了すると、「完成していない資料やデータをどうするのか」という問題が残る場合があります。作成途中の成果物についても委託者へ引き渡すことに合意した場合には、その旨を明記します。
第○条(成果物等の引渡し)
乙は、契約終了日までに原契約に基づいて作成した資料、データその他の成果物について、その完成・未完成を問わず、令和○年○月○日までに甲に引き渡すものとする。
反対に、契約終了後は受託者が一切作業を行わないことを明確にしたい場合には、
第○条(業務の終了)
乙は、契約終了日以降、原契約に基づく業務を行う義務を負わないものとする。
といった条項も考えられます。
委託者から受託者へ、業務に必要な物品を貸与している場合があります。例えば、パソコン、携帯電話、カードキー、書籍、資料、商品サンプルなどです。
第○条(貸与物の返還)
乙は、原契約に基づき甲から貸与を受けた物品及び資料を、令和○年○月○日までに甲に返還するものとする。
返還する物品が多い場合には、「別紙貸与物一覧記載の物品」などとして対象を特定する方法もあります。
業務委託では、物品だけでなく、顧客情報、営業資料、画像、設計データなどを電子データとして受託者へ提供していることがあります。このような場合には、「返還」だけでは処理できないことがあります。
第○条(資料等の返還及び削除)
1 乙は、原契約に基づき甲から提供を受けた資料、情報及び電子データを令和○年○月○日までに甲に返還し、又は甲の指示に従って削除する。
2 乙は、前項の資料等について複製物を保有している場合には、当該複製物についても削除又は廃棄する。
必要に応じて、
「乙は、前項の削除が完了したときは、その旨を甲に通知する。」
という内容を加えることもできます。
デザイン、文章、プログラム、写真、動画、設計資料などを作成する業務委託では、契約終了時点で存在する成果物を誰がどのように利用できるのかが問題になる場合があります。原契約に成果物や知的財産権についての規定があり、その規定を契約終了後も適用するのであれば、例えば次のように定めます。
第○条(成果物に関する権利)
原契約第○条に定める成果物及び知的財産権に関する規定は、原契約終了後もなお有効に存続するものとする。
一方、「完成した成果物だけを対象にする」「作成途中の成果物も委託者が利用できるようにする」「権利そのものを移転するのではなく利用を認める」など、合意内容によって必要となる条項は変わります。そのため、知的財産権については単純なひな形を当てはめるのではなく、原契約の権利関係と今回の契約終了時の合意内容を確認したうえで条項を作成することが重要です。
業務委託契約そのものは終了しても、すべての義務を同時に終了させるとは限りません。秘密保持など、契約終了後も継続させたい義務がある場合には、その点を解除合意書で明確にします。
業務委託契約が終了したからといって、契約期間中に知った営業秘密や顧客情報を自由に利用・開示してよいことにはしたくない場合があります。原契約に秘密保持条項がある場合には、その条項を契約終了後も存続させる方法があります。
第○条(秘密保持義務の存続)
原契約第○条(秘密保持)に定める義務は、原契約終了後もなお有効に存続するものとする。
原契約の条項をそのまま利用しない場合には、解除合意書で改めて秘密保持義務を定めることも考えられます。
第○条(秘密保持)
甲及び乙は、原契約の履行に関連して相手方から開示を受けた秘密情報について、原契約終了後も第三者に開示又は漏えいしてはならない。
どの情報を秘密情報とするのか、いつまで義務を存続させるのかについては、原契約の内容との整合性を確認する必要があります。また、秘密保持だけでなく、成果物に関する権利その他の原契約の規定を契約終了後も残す場合には、どの条項を存続させるのかが分かるようにしておくことが大切です。
業務委託契約を終了するにあたり、一定の金銭を支払うことで問題を解決したり、それまでの債権債務を最終的に清算したりする場合があります。この場合には、「何のために支払う金銭なのか」と「どこまで清算するのか」を区別して考えます。
契約終了に伴って、一方当事者から相手方へ一定の金銭を支払うことで最終的に解決する場合があります。例えば、当事者間で解決金を支払うことに合意したのであれば、
第○条(解決金)
1 甲は乙に対し、原契約の終了に伴う解決金として金○○円を支払う。
2 甲は乙に対し、前項の金員を令和○年○月○日限り、乙の指定する金融機関口座に振り込む方法により支払う。
損害賠償として支払うことについて当事者間で合意しているのであれば、その合意内容に合わせて「損害賠償金」とすることも考えられます。ただし、報酬なのか、委託料の返還なのか、損害賠償金なのか、当事者間の問題を解決するための解決金なのかによって金銭の性質は異なります。
単に「○○円を支払う」とするだけではなく、何のための支払いなのかを整理して条項にすることが重要です。
解除合意書では、契約終了に伴う処理をすべて定めた最後に、当事者間にそれ以上の債権債務がないことを確認する「清算条項」を設けることがあります。すべての処理が完了している場合には、例えば次のような条項が考えられます。
第○条(清算条項)
甲及び乙は、原契約及び本合意書に関し、本合意書に定めるほか、相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する。
未払報酬などが残っているにもかかわらず、単純に「債権債務がない」とすると、他の条項との関係が不明確になります。そのため、例えば、
第○条(清算条項)
甲及び乙は、本合意書に定める債権債務を除き、原契約に関して相互に何らの債権債務が存在しないことを確認する。
といった形が考えられます。これにより、解除合意書で定めた未払報酬や返還金などを残しながら、それ以外の債権債務を清算することができます。
契約終了後も、
などの義務を残す場合があります。この場合も、清算条項によってこれらの義務まで消滅したように読まれないよう、解除合意書全体の条項関係を確認する必要があります。清算条項は、単に解除合意書の最後に入れればよいものではありません。それまでに定めた報酬、返還、解決金、秘密保持その他の条項と矛盾していないかを確認することが重要です。
ここまで紹介した条項例は、すべての解除合意書に入れるものではありません。実際に当事者間でどのような合意ができているのかを確認し、必要な条項を選んで組み合わせます。
解除合意書には、必ず詳しい解除理由を書かなければならないわけではありません。双方が話し合った結果として契約を終了するのであれば、「甲及び乙は、原契約を合意解除する」という内容だけで契約終了についての合意を表すことも考えられます。一方、
「事業方針の変更により契約を終了する」「業務内容を見直すため契約を終了する」など、解除理由を残しておきたいケースもあります。この場合でも、「甲の契約違反により」「乙の債務不履行により」などと記載すると、その事実を相手方も認めたのかという別の問題が生じることがあります。解除理由を記載するときは、その理由まで双方が合意しているのかを確認する必要があります。
実際の解除合意書では、このページで紹介した条項の一つだけを使用するとは限りません。例えば、「10月31日で契約終了」「10月分の報酬15万円を11月末までに支払う」「作成途中のデータは10月31日に引き渡す」「貸与しているパソコンを同日までに返還する」「秘密保持義務は終了後も継続する」という合意であれば、それぞれを条項にして一つの解除合意書を作成します。重要なのは、一つ一つの条項が適切であることだけでなく、条項同士が矛盾していないことです。特に、
については、解除合意書全体を通して確認する必要があります。
契約解除合意書に一般的に記載する内容や基本的な作成方法については、こちらのページで詳しく解説しています。
==>【『契約解除合意書の書き方とポイント』を詳しく見る】
受託者がフリーランスである場合には、解除合意書の内容だけでなく、「フリーランス・事業者間取引適正化等法」の適用についても確認が必要になることがあります。一定の要件に該当する継続的業務委託について、発注事業者側が契約を中途解除したり更新しなかったりする場合には、原則として30日前までの予告や、フリーランスから請求された場合の理由開示が必要になる場合があります。
解除合意書を作成することと、法律上必要となる手続は別の問題です。そのため、フリーランスとの業務委託契約を終了するときには、「解除合意書を作ればそれですべて終了」と考えるのではなく、契約内容や取引期間、当事者の立場なども確認する必要があります。
このページでは、業務委託契約を終了するときに考えられるさまざまな条項例を紹介しました。しかし、すべての解除合意書に、「報酬」「成果物」「損害賠償」「貸与物」「秘密保持」のすべてを記載しなければならないわけではありません。解除合意書を作成する順序は、
�@現在の業務委託契約の内容を確認する
↓
�A契約終了時に残っている問題を整理する
↓
�B当事者間で何をどのように処理するのかを話し合う
↓
�C合意した内容を具体的な条項にする
という流れになります。解除合意書は、ひな形にある条項を並べるための書面ではありません。「話し合って決めたことを、後から双方の認識が食い違わないように文章にする」ことが大切です。

業務委託契約を終了することについて相手方との話し合いができていても、「どこまで書面にしたらよいか分からない」「未払報酬についてどのように書けばよいか分からない」「途中まで作成した成果物について条項にしたい」「貸与物やデータの返還についても決めておきたい」「清算条項を入れたいが、他の条項との関係が分からない」といったことがあります。
当オフィスでは、当事者間ですでに話し合って合意した内容を整理し、業務委託契約の解除合意書として文書化するサポートを行っています。画一的なひな形に当てはめるのではなく、
などを確認し、必要な条項を組み合わせて解除合意書の文案を作成します。
当オフィスでは、契約解除について当事者間で合意した内容をお伺いし、必要な事項を整理したうえで、契約解除合意書の文案を作成いたします。当事者間で取り決めた内容を、論理的で分かりやすい文書にまとめることを大切にしています。
契約解除合意書作成サービス
作成料金19,800円(税込)〜/初回相談・お見積り無料
業務委託契約を終了することについて話し合いはできているものの、どのような解除合意書を作ればよいのか分からない場合は、お気軽にお問い合わせください。なお、行政書士による書類作成は、当事者間で合意した内容を文書化するものです。相手方との交渉や、紛争性のある案件について代理して解決する業務ではありません。
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初回相談・お見積りは無料です。

借用書は通常、借主側のみが署名,押印するのに対して、金銭消費貸借契約書は借主側,貸主側双方が署名,押印します。借用書や金銭消費貸借契約書を作成する場合、ポイントは、返す約束をしたこと、借主が金銭を受領済であることの明記です。

お金を貸した後から作成するのが債務承認弁済契約書と呼ばれる書類です。お金を貸すときに書類など作成せずに貸したけど、約束の時期になってもなかなか返してくれないなど、不安があるのであらためて書類を作成したいときに作成します。後から作成しても法的問題はありません。

業務委託契約の解除合意書はお互いが契約解除に合意したことを証明する書面です。法律上必ず作らなければならないというものではありません。また、作らなければ契約を解除できなというものでもありません。後のトラブル防止のため、話し合って合意した内容、特に清算条項を書面にします。

個人的なやり取りにおいて、約束した証拠として又は、事実を確認した証拠として交わされることが多い念書。念書に関して、作成する場面、契約書、合意書、覚書等の書類との違いや法的効力、書き方について。

和解契約書とは和解契約で合意した内容を書面にしたものです。書き方の基本は、「当事者」(誰と誰が),「日付」(いつ),「事実関係」(どんな争いがあって),「和解内容」(話し合いでどのように解決するか)です。和解契約とは、当事者双方が話し合いで互いに譲歩して、その間にある争いを止めることを約束する契約のことをいいます。

仮契約という言葉は広く一般的に使われています。ですが、何故「仮」であるのかを考えて、その効力をはっきりさせる必要があります。たとえタイトルに「仮」と記載されていても、その内容がお互いに何らかの義務を負う内容になっていれば、法的な効力を持つ契約書になります。

利用規約や同意書を作る時に検討する内容や書き方の手順について。WebサービスやWebアプリに限らず、自宅サロンや自宅教室など、ご自身が提供するサービスの利用規約や同意書といった書面を準備していますか?
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代表 行政書士 辻下仁雄
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大学で応用数学を学び、システムエンジニアとしてIT関連企業に勤務。2017年行政書士事務所を開業し現在に至る。
申請取次行政書士 2級ファイナンシャルプランニング技能士