プライベートで役立つ法律文書作成 / 有効な合意書や覚書の書き方
合意書や覚書とは当事者間の合意事項を文書にしたものです。合意書や覚書を作成する場面として、典型的には「契約に至るまでの合意した内容を確認する場合」、「すでに締結している契約に関して、その内容を修正・変更する場合」、「当事者間で発生した紛争を解決する際に合意した内容を確認する場合」、「将来に発生する可能性のある紛争を未然に防ぐ目的で合意した内容を確認する場合」等について作成されます。
合意書や覚書も署名・押印した当事者を拘束し、権利義務が生じます。そのためには、そこに記載された内容が法的に有効と認められる必要があります。有効と認められる条件は、記載内容(文書にした合意内容)と当事者に関する条件があります。
合意書や覚書の内容が有効なものとして認められるには、まず、その内容が確定している必要があります。例えば、「甲さんが乙さんに迷惑をかけた謝罪として、乙さんに対して、乙さんの気に入ったものを引き渡す」と記載されていても何を引き渡すのかが不明なため無効となります。次に、合意書や覚書の締結時に実現可能であることです。絵画を引き渡す約束をした時点で既にその絵画が焼失などで無い場合、締結時には実現可能性が無く、無効になります。その他、公序良俗に反する内容であるとか、違法な内容は無効になります。
約束した相手が判断能力の怪しい人や泥酔者、幼児など「意思能力」の無いと判断される人との締結は無効になります。又、未成年者や成年被後見人等の「行為能力」が無いと判断され人との締結は取り消される可能性があります。その他、合意する気の全くない人との締結や、強迫・詐欺を行って締結した場合、無効になったり、取り消されたりします。
作成した合意書や覚書に署名・押印した当事者はそこに記載された内容の権利義務を有することになり、後日、記載内容と異なる主張をしても原則としてそのような主張が認められることはありません(有効な合意書や覚書が前提で、無効な記載内容や記載内容を覆す証拠があれば別ですが)。合意書や覚書は当事者間で約束した合意内容を証明する証拠書類としての機能があります。
合意書や覚書に記載する内容は、概ね
のようなことを、、簡潔・明確に書いておく必要があります。注意点としては日付は「〇〇年〇〇月〇〇日」と具体的に(○○月吉日などはダメです)。又、「できるだけ・・・」、「なるべく・・・」といったような曖昧な表現は使わないようにします。誰が読んでも一つの結果を想像するような文言を使います。以上のようなことを書面にする場合、決まった書式というものはありませんが、通常、「表題、前文、合意内容、後文、作成年月日、当事者の表示」といった構成にします。(これ以外でも問題はありません)
表題は「このような表題を付けなければならない」といった決まりはありません。が、表題を見れば内容がわかるような表題を選ぶべきです。
締結の当事者、何についての合意かということを記載します。又、合意書、覚書を作成するに至った経緯や理由を記載します。前文が無い場合もあります。
当事者間の具体的な合意事項を記載します。
作成した合意書、覚書の枚数や当事者間で合意が成立したことを証明する文言を記載します。後文が無い場合もあります。
合意書、覚書を作成する日付を記載します。
合意書、覚書の当事者が署名・押印をして当事者であることを示します。
<基となる売買契約に変更が生じた場合の例>
@収入印紙
A覚 書
F
甲 印
乙 印
@収入印紙の貼付、消印
合意書,覚書の記載内容によっては、印紙税法の定めにより収入印紙を貼付けし、消印をする必要があります。(収入印紙の貼付けが必用とされている合意書,覚書に印紙を貼り忘れた場合でも、効力自体は有効です)。原本を複数作成する場合は、それぞれに印紙が必用となります。
A表題
B前文
C合意内容
当事者間の具体的な合意あるいは取り決めた内容を条項として記載します。
D後文
E作成年月日
F当事者の表示
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