親が亡くなった後の手続きと進め方実家を相続したら何から始める?

親が亡くなって実家を相続することになった場合、何から始めれば良いか?

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親が亡くなり、実家が残されたとき、「実家の相続は何から始めればいいのだろう」,「親が亡くなった後、家はそのままにしておいていいのだろうか」,「兄弟がいる場合、実家は誰のものになるのだろう」と戸惑う方は少なくありません。実家の相続では、いきなり名義変更の手続きを始めればよいわけではありません。まず確認する必要があるのは、遺言書があるか、実家が誰の名義になっているか、誰が相続人になるのかということです。そのうえで、相続人が複数いる場合には、実家を誰が相続するのかを決めます。そして、相続人同士で決めた内容に基づいて相続登記などの手続きを進めていくことになります。つまり、親が亡くなった後の実家の相続は、おおむね、

  1. 遺言書を確認する
  2. 実家の名義を確認する
  3. 相続人を確認する
  4. 実家を誰が相続するか決める
  5. 決めた内容を書面にする
  6. 相続登記をする

という順番で考えると整理しやすくなります。

親が亡くなったら実家について確認すること

親が亡くなった後、実家について最初に確認しておきたいことは、大きく分けて次の3つです。

  1. 遺言書が残されていないか
  2. 実家が誰の名義になっているか
  3. 相続人になる人は誰か

この3つを確認しないまま、「長男が実家を継ぐ」「今住んでいる子がそのまま相続する」といった判断をすることは適切ではありません。

まず遺言書がないか確認する

亡くなった親が遺言書を残している場合、実家について「長男に相続させる」などの指定がされている可能性があります。そのため、最初から兄弟で実家をどうするか話し合うのではなく、まず遺言書の有無を確認することが重要です。遺言書には、公正証書遺言、自宅などで保管されている自筆証書遺言、法務局の自筆証書遺言書保管制度を利用して保管されている遺言書などがあります。遺言書がある場合とない場合では、その後の手続きが変わる可能性があります。

実家の名義も確認する

「父の家だと思っていたから、当然父名義だろう」と考えていたところ、登記を確認すると祖父名義のままだった、というケースもあります。また、土地は父名義、建物は母名義ということもあります。したがって、実家の相続を考える場合には、「誰の家だったか」という家族の認識だけではなく、不動産登記上の所有者が誰なのかを確認する必要があります。

誰が相続人になるのか確認する

さらに重要なのが相続人の確認です。たとえば、父が亡くなり、母と子ども2人がいる場合には、原則として母と子ども2人が相続人になります。実家を誰が相続するのかを決める前に、まず「誰が相続について話し合う必要があるのか」を確定させる必要があります。

まず実家が誰の名義になっているか確認する

親が亡くなった後の実家について、「何から始めればいいか分からない」という場合には、実家の登記名義を確認することが一つの出発点になります。

不動産の所有者は、法務局で取得できる登記事項証明書などによって確認できます。登記事項証明書には、土地や建物について、所在地や地番・家屋番号、所有者などの登記事項が記録されています。登記事項証明書は法務局の窓口だけでなく、郵送やオンラインでも交付請求することができます。

土地と建物は別々に確認する

実家について注意したいのは、土地と建物が別々の不動産として登記されていることです。たとえば、

・ 土地 父名義

・ 建物 父名義

とは限りません。実際には、

・ 土地 祖父名義

・ 建物 父名義

あるいは、

・ 土地 父と母の共有

・ 建物 父名義

といったケースも考えられます。そのため、「実家」という一つの財産として考えるのではなく、土地と建物それぞれについて登記を確認することが重要です。

親より前の世代の名義だった場合

登記を確認した結果、亡くなった親ではなく祖父や祖母の名義になっていることがあります。この場合、今回亡くなった親の相続だけを考えればよいとは限りません。祖父母が亡くなった時点の相続関係までさかのぼって確認しなければならず、相続人が増えている場合もあります。「親が亡くなったから、実家を自分の名義に変えればよい」と単純には進められないケースがあるため、最初の名義確認が重要なのです。

実家を相続できる人を確認する

実家の名義を確認したら、次に「誰が相続人になるのか」を確認します。法律上、相続人になる人には順位があります。亡くなった人の配偶者は原則として常に相続人となり、それ以外の親族については、

第1順位 子

第2順位 父母などの直系尊属

第3順位 兄弟姉妹

という順番で相続人になります。たとえば、父が亡くなり、母と長男・長女がいる場合には、

母・長男・長女の3人が相続人になります。この場合、父の兄弟姉妹は相続人にはなりません。一方、亡くなった人に子がいない場合には、父母などが相続人となり、子も父母などもいない場合には兄弟姉妹が相続人になることがあります。また、本来相続人になる子が親より先に亡くなっている場合、その子、つまり亡くなった人から見た孫が相続人になる「代襲相続」が発生する場合もあります。したがって、相続人については「家族だから分かっている」と考えるのではなく、戸籍を確認して確定することが大切です。相続登記などでは、亡くなった人の出生から死亡までの戸籍等が必要になる場合があります。

実家を誰が相続するか決める

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遺言書がなく、相続人が複数いる場合には、実家を誰が相続するのかを相続人で話し合うことになります。この話し合いを”「遺産分割協議」”といいます。

ここで重要なのは、法定相続分があるからといって、必ずその割合で実家を共有しなければならないわけではないということです。たとえば、父が亡くなり、母・長男・長女が相続人だったとします。相続人全員が合意すれば、「実家の土地と建物は長男が相続する」という分け方をすることもできます。その代わり、母や長女が預貯金など別の財産を取得するという分け方も考えられます。また、実家を取得する人が他の相続人に金銭を支払って調整する方法が検討されることもあります。つまり、実家の相続では、単に「法定相続分は何分の何か」を考えるだけでなく、実家を残すのか、売却するのか、誰かが住むのか、他の相続財産をどう分けるのかまで含めて考える必要があります。

兄弟の一人が実家を相続する場合

実家の相続でよくあるのが、兄弟姉妹のうち一人が実家を相続するケースです。たとえば、父が亡くなり、母はすでに他界していて、長男・長女・次男の3人が相続人だったとします。長男が実家に住み続けるのであれば、「実家の土地と建物を長男が相続する」という遺産分割を行うことが考えられます。ただし、長男が実家を相続すると自動的に決まるわけではありません。遺言書などによる指定がない場合には、相続人全員で話し合って決める必要があります。

現在の相続制度では、「長男だから当然に実家を相続する」という仕組みにはなっていません。長男も長女も次男も、同順位の子であれば原則として同じ立場の相続人です。したがって、一人だけが実家を取得するのであれば、他の相続人を含めて遺産分割の内容を決める必要があります。

実家以外の財産も一緒に考える

実家だけを見て相続方法を決めると、相続人間の調整が難しくなることがあります。たとえば、

・ 長男 実家

・ 長女 預貯金

・ 次男 有価証券

というように、遺産全体を見ながら分ける方法もあります。実家の価値が他の財産より大きい場合には、実家を取得する相続人が他の相続人に金銭を支払う方法を検討することもあります。

話し合った内容は遺産分割協議書にする

相続人同士で、「実家は長男が相続する」「預貯金は母と長女が相続する」などの話し合いがまとまったら、その内容を遺産分割協議書という書面にします。

遺産分割協議書とは

遺産分割協議書とは、相続人全員で話し合って決めた遺産の分け方を書面にしたものです。たとえば実家について、「相続人○○は、次の土地及び建物を取得する」として、対象となる土地・建物を特定して記載します。そして、相続人全員が合意したことを示すため、相続人が署名または記名し、実印を押印する方法が一般的です。

なぜ口約束だけではなく書面にするのか

家族全員が納得しているのであれば、「わざわざ書類を作らなくてもいいのでは」と思われるかもしれません。しかし、実家を一人の相続人の名義に変更する場合、遺産分割による相続登記では、原則として遺産分割協議書など、誰がその不動産を取得したのかを確認できる書類が必要になります。また、相続手続きは不動産だけではありません。預貯金、有価証券などについても相続手続きが必要になることがあります。遺産分割協議書を作成しておけば、「誰が、どの財産を相続することになったのか」を明確にすることができます。実家は正確に特定する必要があります。遺産分割協議書に、「実家は長男○○が相続する」とだけ記載するのでは、相続登記に使用する書面として不十分になる可能性があります。不動産については、登記事項証明書などを確認し、対象となる土地・建物を特定できるように記載することが重要です。ここでも、最初に確認した登記情報が必要になります。

実家を相続したら相続登記が必要

遺産分割協議によって実家を相続する人が決まったら、それだけで不動産の登記名義が自動的に変更されるわけではありません。法務局で相続登記の手続きを行います。2024年4月1日から相続登記は義務化されています。原則として、不動産を相続によって取得した相続人は、自己のために相続が開始したことを知り、かつ、その不動産の所有権を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請する必要があります。また、遺産分割が後から成立した場合についても、遺産分割によって不動産を取得した相続人には、その成立日から3年以内にその内容を反映した登記をする義務があります。正当な理由なく義務に違反した場合には、10万円以下の過料の対象となる可能性があります。そのため、「親が亡くなったけれど、実家には誰も住んでいないからそのままでいい」「売る予定が決まってから名義変更すればいい」とは考えず、相続関係を確認して手続きを進めることが重要です。相続登記をするためにも、

”誰が相続人なのか →実家を誰が取得するのか →その内容をどのような書類にするのか”

という前段階の整理が必要になります。


実家の相続で遺産分割協議書が必要な場合

親が亡くなったからといって、すべてのケースで遺産分割協議書を作成するわけではありません。たとえば、実家を取得する人が有効な遺言によって明確に指定され、その遺言に基づいて手続きをする場合など、遺産分割協議書を使用しないケースもあります。

一方で、遺言書がなく、相続人が複数いて、そのうちの一人が実家を相続する場合には、相続人全員で遺産分割について合意し、その内容に基づいて相続登記を行うことが一般的です。その際に重要になるのが遺産分割協議書です。たとえば、「兄弟3人のうち長男が実家を相続する」「実家は長女、預貯金は長男と次男が相続する」「実家を取得する相続人が他の相続人に金銭を支払う」など、実際の相続ではさまざまな分け方があります。遺産分割協議書では、こうした話し合いの結果を、後の相続手続きで使用できるように整理して書面にする必要があります。

実家の相続は「名義変更」から始まるわけではありません親が亡くなった後の実家について、「名義変更をしなければ」と考える方は多いでしょう。しかし、その前に確認しなければならないことがあります。

・ 遺言書はあるのか。

・ 実家は誰の名義なのか。

・ 相続人は誰なのか。そして、

・ 実家を誰が相続するのか。

これらが整理されて、初めて相続登記へ進むことができます。そして、相続人同士の話し合いによって実家を取得する人を決めた場合、その話し合いの結果を形にする書類が遺産分割協議書です。


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代表 行政書士 辻下仁雄

        Profile
        大学で応用数学を学び、システムエンジニアとしてIT関連企業に勤務。2017年行政書士事務所を開業し現在に至る。
        申請取次行政書士    2級ファイナンシャルプランニング技能士