/実家を相続したら何から始める?/亡くなった親名義の家をそのままにしている場合の必要な相続手続き

「父が亡くなって何年も経つけれど、実家は父名義のままになっている」,「親が亡くなった後も家族が住み続けているので、名義変更をしていない」,「昔の相続だから、相続登記の義務化は関係ないと思っていた」このような場合には、実家の相続について一度確認しておく必要があります。
2024年4月1日から相続登記が義務化されました。
注意したいのは、2024年4月1日より前に発生した相続についても、相続登記がされていない不動産は原則として義務化の対象になることです。そのため、何年も前に父や母が亡くなり、親名義の家をそのままにしている場合でも、「昔の相続だから関係ない」とは限りません。特に、2024年4月1日より前から相続によって不動産を取得したことを知っていた場合には、原則として2027年3月31日が一つの重要な期限になります。ただし、長期間名義変更をしていない実家では、
・現在の相続人は誰なのか
・実家を誰が相続するのか
・最初の相続人がその後亡くなっていないか
などを確認しなければならない場合があります。
親が亡くなっても、不動産の登記名義は自動的には相続人へ変更されません。
たとえば、父が2005年に亡くなり、その後も母が実家に住み続けていたとします。家族の中では、「この家は母が住んでいるから母の家」という認識だったとしても、相続登記をしていなければ、登記上は亡くなった父の名義が残っていることがあります。また、「いずれ売るときに名義変更すればいい」「家族しか住んでいないから問題ない」と考え、そのままになっているケースもあります。しかし、現在は相続登記が義務化されています。
長期間相続手続きをしていない場合、最初に確認したいのが現在の登記です。「父名義だと思っていた家が、実際には祖父名義だった」「土地は祖父名義、建物だけ父名義だった」「土地が父と母の共有だった」といったこともあります。そのため、家族の記憶だけで判断せず、登記事項証明書などによって土地・建物の登記名義人を確認することが重要です。特に古くから所有している実家の場合には、親より前の世代から相続登記が行われていない可能性についても確認する必要があります。

亡くなった親名義の家を長期間そのままにしていた場合、相続手続きを始めるにあたって重要になるのが、現在の相続関係を正確に確認することです。たとえば、父が亡くなった当時、
母
長男
長女
の3人が相続人だったとします。父が亡くなった直後に手続きをしていれば、この3人で遺産分割について話し合うことが考えられました。ところが、何年も相続手続きをしない間に母が亡くなっている場合には、状況が変わります。父の相続について母が有していた相続上の地位が、母の相続人へ承継されることがあるからです。そのため、昔の相続を今から処理する場合には、「父が亡くなった当時の相続人は誰だったか」だけではなく、「その相続人が現在も存命なのか」までを戸籍をたどって確認する必要があります。
相続人を確定するためには、戸籍等によって相続関係を確認します。亡くなった人については、原則として出生から死亡までの連続した戸籍等を確認することになります。相続から長い年月が経過しているほど、転籍、婚姻、死亡などによって確認すべき戸籍や相続関係が増える可能性があります。
相続人が確認できたとしても、「実家を誰が相続するのか決めていなかった」というケースは少なくありません。たとえば父が亡くなった後、「とりあえず母が住み続けるから、家のことは後で考えよう」として、遺産分割をしないまま年月が経過している場合です。この場合には、遺言書の有無や現在の相続関係などを確認したうえで、必要に応じて遺産分割について検討します。
相続人が複数いるからといって、必ず実家を全員の共有名義にしなければならないわけではありません。相続人全員が合意すれば、「実家の土地と建物は長男が取得する」などと決めることもできます。その代わりに他の相続人が預貯金など別の財産を取得する方法も考えられます。重要なのは、現在の相続関係を確認したうえで、遺産全体についてどのように分けるのかを整理することです。
亡くなった親名義の家を長期間そのままにしているケースで、特に注意が必要なのが、最初の相続が終わらないうちに相続人が亡くなっている場合です。たとえば、
父が死亡
↓
父の遺産分割をしないまま母が死亡
というケースです。このように、最初の相続について遺産分割が完了する前に相続人の一人が死亡し、次の相続が発生している状態は、一般に数次相続と呼ばれます。たとえば父の相続人が、”母・長男・長女”だったとします。父の遺産分割をしないまま母が亡くなった場合には、母の相続関係も確認しなければなりません。さらに長男も亡くなっていれば、長男についての相続も発生します。このように、”父の相続 → 母の相続 → 長男の相続”と複数の相続が重なると、遺産分割協議に関係する人が増える可能性があります。「父名義の家を自分名義に変更するだけ」と考えていたものが、実際には複数の相続関係を整理しなければならないケースもあります。そのため、親名義の家を何年もそのままにしている場合には、相続人の死亡の有無を早い段階で確認することが重要です。

相続から何年も経過していても、それだけを理由として遺産分割協議そのものができなくなるわけではありません。現在の相続関係を確認し、遺産分割について話し合うべき人を確定したうえで、実家を誰が取得するのかを協議します。たとえば、「父名義の実家について、長男が取得する」「実家は長女が取得し、預貯金は他の相続人が取得する」など、相続人全員で合意できれば、その内容に基づいて手続きを進めることになります。
相続人全員の話し合いによって、「亡くなった父名義の実家は長男が取得する」などと決まったら、その合意内容を遺産分割協議書として書面にします。遺産分割協議によって実家を取得した人が相続登記を行う場合、この遺産分割協議書が重要な書類になります。
遺産分割協議書に、「父の実家を長男が相続する」とだけ記載するのではなく、相続登記で使用することを考え、対象となる不動産を正確に特定することが重要です。土地であれば、”所在・地番・地目・地積”、建物であれば、”所在・家屋番号・種類・構造・床面積”など、登記事項証明書等に記録された内容を確認します。長期間放置されていた相続では、単純に遺産分割協議書のひな形へ実家を記載すれば済むとは限りません。まず、
を整理する必要があります。そのうえで、実際の相続関係と合意内容に合わせて遺産分割協議書を作成します。
亡くなった親名義の家をそのままにしている場合、まず「名義変更の申請をする」と考えるのではなく、相続関係を順番に整理することが重要です。一般的には、次のような流れで確認します。
登記事項証明書などによって、実家の土地・建物が本当に亡くなった親名義になっているか確認します。
戸籍等を確認し、相続人を確定します。長期間経過している場合には、当初の相続人がその後亡くなっていないかも確認します。
遺言書がある場合には、その内容によって必要となる手続きが変わる可能性があります。
遺産分割が必要な場合には、相続人間で実家を含む遺産の分け方について話し合います。
話し合いがまとまったら、その合意内容を書面にします。
遺産分割協議書や戸籍等の必要書類を整え、不動産所在地を管轄する法務局へ相続登記を申請します。
親名義の家をそのままにしている方は、まず相続関係の確認から始めます。「何十年も前の相続だから、今さら手続きしなくてもいい」とは限りません。2024年4月1日より前の相続も相続登記義務化の対象となっており、ケースによっては2027年3月31日が重要な期限となる可能性があります。また、時間が経過するほど、その間に相続人が亡くなり、次の相続が発生する可能性も高くなります。親名義の家がそのままになっていることに気付いたら、
登記名義を確認する
→ 相続人を確認する
→ 誰が実家を取得するのか整理する
→ 必要な遺産分割協議書を作成する
→ 相続登記へ進む
という順番で考えてみてください。

当オフィスがサポートするのは、相続登記そのものではなく、その前提となる遺産分割協議書の文案作成です。
「父が亡くなってから何年も実家の名義を変更していなかった」
「相続人は分かっていて、実家を誰が取得するかも決まっている」
「昔の相続について、今から相続登記に使う遺産分割協議書を整えたい」
という場合には、相続関係と合意された内容を確認しながら、遺産分割協議書の文案作成をサポートします。「親名義の家をそのままにしていた。今から手続きを始めたい」 その第一歩として、相続関係と遺産分割の内容を整理し、相続登記につなげるための遺産分割協議書を整えます。
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