よくある問題と専門家に依頼を検討した方が良いケース遺産分割協議書は自分で作成できる?

遺産分割協議書は自分で作成できる?|自作でよくある問題

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遺産分割協議書を作成することになったとき、「遺産分割協議書は自分で作れるのだろうか」「インターネットにあるひな形を使えば大丈夫なのか」「専門家に頼むとしたら誰に依頼すればよいのか」と迷う方は少なくありません。結論からいうと、遺産分割協議書は必ず専門家に依頼しなければならない書類ではありません。相続関係が単純で、相続人全員の合意内容が明確であり、財産の内容も整理できているケースであれば、公的機関が公開している記載例などを参考に自分で作成することもできます。

一方で、相続人が多い,相続発生から長期間経過している,相続人の一人がすでに亡くなっている,土地や建物が複数ある,預貯金や株式など複数の財産がある,一般的なひな形ではどのように書けばよいか分からないといったケースでは、書類の内容が複雑になることがあります。大切なのは、「自分で作るか、専門家に頼むか」を最初から二者択一で考えることではありません。まず自分の相続関係と財産関係を整理し、一般的なひな形で対応できるケースなのか、それとも個別事情に合わせた遺産分割協議書が必要なのかを判断することが重要です。

遺産分割協議書は自分で作成できる

遺産分割協議書について、「法律関係の書類だから、専門家でなければ作れない」と思われることがあります。しかし、相続人本人が、自分たちの遺産分割について遺産分割協議書を作成することは可能です。法務局でも、遺産分割による相続登記について申請書や遺産分割協議書の記載例を公開しています。

例えば、法務局の記載例などを参考に、「被相続人は誰か」「相続人は誰か」「どの財産を誰が取得するのか」といった内容を整理して、自分たちで遺産分割協議書を作成することもできます。ただし、「自分で作成できる」ことと「どのようなケースでもひな形を使えば簡単に作成できる」ことは別です。相続関係や財産の内容によって、協議書に記載する内容は変わります。そのため、自分で作成する場合でも、まずは自分の相続がどの程度複雑なのかを確認することが重要です。

そもそも遺産分割協議書とは?

遺産分割協議書とは、相続人全員で遺産の分け方を話し合い、その合意内容を書面にしたものです。例えば、父が亡くなり、相続人が、「母」「長男」「長女」の3人だったとします相続財産として、「自宅の土地」「自宅の建物」「A銀行の預金」「B銀行の預金」があり、相続人全員で、「土地と建物は母が取得する」「A銀行の預金は長男が取得する」「B銀行の預金は長女が取得する」と合意したとします。この内容を文書として明らかにするのが遺産分割協議書です。作成した遺産分割協議書は、その内容に応じて、不動産の相続登記や金融機関での相続手続きなどに使用することがあります。つまり遺産分割協議書は、「相続人全員が、誰がどの財産を取得するのかについて合意したことを文書にしたもの」と考えると分かりやすいでしょう。

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そもそも相続登記で遺産分割協議書が必要になるのはどのような場合なのかについては、『相続登記で遺産分割協議書が必要となるケース』をご覧ください

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自分で遺産分割協議書を作成しやすいケース

一つの目安となるのが、相続関係と財産関係が比較的単純であることです。相続人が少なく、相続関係が単純とは、例えば、

  父が死亡

  ↓

  相続人は母と子2人

というように、誰が相続人なのかが明確なケースです。戸籍を確認して相続人の範囲が確定しており、その後に別の相続が発生していないのであれば、相続関係を整理しやすくなります。

相続人全員ですでに合意している

遺産分割協議書は、これから相続人同士の交渉をするための書類ではありません。相続人全員による協議によって、「誰が何を取得するのか」が決まった後に、その内容を書面にします。そのため、相続人全員の合意内容が明確であるほど、自分でも協議書を作成しやすくなります。

財産の種類や数が少ない

例えば、「相続財産は自宅の土地と建物だけで、長男が取得する」というケースであれば、比較的整理しやすいでしょう。反対に、不動産、預貯金、株式、自動車など多数の財産があり、それぞれ取得者が異なる場合には記載内容も複雑になります。

法務局では、遺産分割による相続登記について記載例が公開されています。自分のケースがその記載例と近く、必要な情報を確認できるのであれば、それを参考に自分で協議書を作成する方法もあります。

ひな形を使って作成するときに注意したいこと

現在はインターネットで「遺産分割協議書 ひな形」と検索すれば、さまざまな書式を見つけることができます。ひな形は便利ですが、大切なのは、「ひな形に自分の名前を入れれば完成する」と考えないことです。遺産分割協議書には、その相続において実際に合意した内容を記載する必要があります。例えば、

  相続人の範囲

  財産の種類

  不動産の数

  預貯金の数

  誰がどの財産を取得するのか

は相続ごとに異なります。したがって、ひな形を利用する場合には、「この文章を自分の相続にどう当てはめるか」ではなく、「自分たちが合意した内容を正確に書面にするため、このひな形を参考にできるか」という順番で考えることが重要です。

自分で作成するときによくある問題

遺産分割協議書を自分で作成する場合、特に次のような点で問題が生じることがあります。

  1. 相続人が一人漏れている
  2. 遺産分割協議書を作成する前提として重要なのが、法定相続人を正確に確認することです。例えば、亡くなった父について「母と自分たち兄弟だけが相続人だと思っていた」としても、戸籍を確認した結果、前婚の子など別の相続人が判明することがあります。遺産分割協議は、一部の相続人だけで行えばよいものではありません。そのため、誰が相続人なのかを十分に確認しないまま協議書を作成すると、せっかく書面を作っても手続きを進められないことがあります。遺産分割協議書の文章を作る前に、まず「誰が協議に参加しなければならないのか」を確認することが重要です。

  3. 不動産を住所だけで記載している
  4. 不動産を記載するときには、普段使用している住所だけを見て作成しないよう注意が必要です。土地については、[「所在」「地番」「地目」「地積」、建物については、「所在」「家屋番号」「種類」「構造」「床面積」など、登記記録上の情報があります。普段使っている住所と登記上の地番などは一致するとは限りません。相続登記にも使用する遺産分割協議書であれば、登記事項証明書等によって不動産の表示を確認しておくことが重要です。

  5. 誰がどの財産を取得するのか曖昧
  6. 遺産分割協議書の中心となるのは、「どの財産を、誰が取得するのか」という部分です。相続人同士では、「実家は長男」ということで意思が一致していたとしても、協議書の文章として十分かどうかは別問題です。例えば、被相続人が複数の土地・建物を所有している場合には、「実家」がどの土地・建物を意味するのか書面から明確に分かるようにする必要があります。相続人の間では内容を理解していたとしても、文章にしたときに取得者や対象財産が曖昧になっていれば、相続手続きで問題になることがあります。

  7. 相続登記だけを考えて協議書を作成している
  8. 相続財産が土地・建物だけとは限りません。預貯金、株式、自動車など、複数の財産があることも珍しくありません。例えば、「自宅は長男が取得する」
    という不動産についての合意だけを記載した協議書を作成したものの、その後になって、「銀行預金についても相続手続きが必要だった」と気付くことがあります。もちろん、遺産分割協議を財産ごとに行うこと自体が直ちに問題になるわけではありません。しかし、相続財産全体についてすでに分け方が決まっているのであれば、相続登記だけではなく、その後に必要となる相続手続きも確認してから協議書の内容を考えるという方法もあります。

  9. 相続発生から時間が経ち、相続人も亡くなっている
  10. 古い相続では、さらに注意が必要です。例えば、

      祖父が死亡

      ↓

      相続登記をしないまま父が死亡

      ↓

      現在になって祖父名義の土地を相続登記する

    というケースです。最初の相続が終わらないうちに相続人が亡くなり、次の相続が発生している状態は、一般に「数次相続」と呼ばれます。このような場合には、現在生存している人だけを見て単純に協議書を作ればよいとは限りません。誰の相続について、誰が遺産分割協議に参加するのかを整理したうえで、書面を作成する必要があります。

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数次相続に関する遺産分割協議書については、『数次相続の遺産分割協議書の作成手順』をご覧ください

=>数次相続の遺産分割協議書の作成手順


遺産分割協議書での不動産の記載方法については、『遺産分割協議書における不動産の書き方・表示方法』をご覧ください

=>遺産分割協議書における不動産の書き方・表示方法

ひな形だけでは対応しにくいケースもある

相続登記を予定している場合、法務局が公開している遺産分割協議書の記載例は非常に参考になります。ただし、法務局が公開している記載例は、すべての相続手続きにそのまま利用できる万能な遺産分割協議書ではありません。法務局も、公開しているサンプルについて、不動産登記に必要な範囲の内容を記載したものであり、それ以外の内容を網羅したものではない旨を案内しています。したがって、「相続登記に使えればそれでよい」というケースと、「不動産だけでなく預貯金なども含めた相続全体について協議書を作りたい」というケースでは、必要となる内容が異なる可能性があります。大切なのは、ひな形そのものではなく、自分がその遺産分割協議書を何の手続きに使用する予定なのかを先に整理することです。

専門家への依頼を検討した方がよいケース

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次のような場合には、一般的なひな形を参考に自分で作成するよりも、個別事情に合わせて協議書を作成する方法を検討した方がよいでしょう。

相続人が多い
相続人が配偶者と子だけではなく、兄弟姉妹,甥・姪などまで広がっている場合には、相続関係の確認が重要になります。相続人の人数が多くなれば、その一人一人が遺産分割協議に関係する可能性があります。

相続発生から長期間が経過している
「父が亡くなってから20年間、土地を父名義のままにしていた」といった古い相続の場合には、その間に別の相続人が亡くなっていることがあります。このような場合、単純に現在生きている家族だけで協議書を作ればよいとは限りません。

数次相続が発生している
例えば、

  祖父が死亡

  ↓

  相続登記をしないまま父が死亡

  ↓

  現在、祖父名義の土地を整理したい

というケースです。最初の相続手続きが完了する前に相続人が亡くなり、次の相続が発生している状態は一般に「数次相続」と呼ばれます。この場合には、「誰の相続について」「誰が遺産分割協議に参加するのか」というところから整理する必要があります。

不動産が複数ある
自宅だけでなく、畑,山林,駐車場,貸家,他県の土地など複数の不動産を所有していた場合です。さらに、「自宅は長男」「農地は次男」など取得者が異なる場合には、どの不動産を誰が取得するのかを一つずつ整理する必要があります。

預貯金など不動産以外の財産も多い
例えば、自宅,A銀行普通預金,A銀行定期預金,B銀行普通預金,上場株式,自動車など複数の財産がある場合です。財産ごとに取得者が異なるのであれば、その内容を分かりやすく整理して書面にする必要があります。

「相続人全員が合意済み」かどうかが重要

専門家への依頼を考えるときには、もう一つ重要な区別があります。それは、「合意内容をどう書けばよいか分からない」のか、「そもそも相続人同士で合意できていない」のかという違いです。例えば、「自宅を長男が取得することについて相続人全員は賛成している。ただ協議書の書き方が分からない」という場合には、合意内容を文書化することが問題となっています。これに対して、「長男は自宅を取得したいと言っているが、長女が反対している」「兄弟の間で相続分について争いになっている」というケースは状況が異なります。この場合には、単に遺産分割協議書を作成すれば解決する問題ではありません。まず相続人の間で遺産分割について合意する必要があります。


専門家に依頼する前に整理しておきたいこと

専門家へ遺産分割協議書の作成を依頼する場合でも、すべてを一から考えてもらうというものではありません。まず、「誰が、どの財産を取得することで合意したのか」を整理しておくことが重要です。具体的には、次の点を確認しておくとスムーズです。

  1. 誰が亡くなったのか
  2. 被相続人を確認します。

  3. 相続人は誰か
  4. 戸籍等によって法定相続人を確認します。

  5. 遺言書はないか
  6. 遺言書が存在する場合には、遺産分割の進め方が変わる可能性があります。

  7. どのような相続財産があるか
  8. 土地・建物、預貯金、株式、自動車などを整理します。

  9. 誰がどの財産を取得するか
  10. 相続人全員の合意内容を確認します。

  11. 協議書を何の手続きに使用する予定か
  12. 相続登記だけなのか、金融機関等の相続手続きにも使用するのかを確認します。

このような情報を整理したうえで、合意内容を協議書として文書化します。

当オフィスの遺産分割協議書作成サービス

当オフィスでは、相続人間ですでに遺産分割の内容について合意している方を対象として、合意内容を遺産分割協議書として文書化するサポートを行っています。「誰が相続人なのか」「どの財産が対象なのか」「誰がどの財産を取得するのか」「どの相続手続きで使用する予定なのか」を整理したうえで、その相続内容に応じた協議書を作成します。

「相続人全員の話し合いは終わっているが、協議書をどう書けばよいか分からない」「法務局のひな形を見たが、自分のケースにそのまま使えるのか分からない」「土地や建物が複数あり、協議書への記載方法が分からない」「不動産だけでなく預貯金についても一つの遺産分割協議書にまとめたい」「数年前、数十年前の相続で、相続関係が複雑になっている」「自分で協議書を作成してみたが、内容を整理し直したい」といった場合には、ご相談ください、個々の相続内容に応じて遺産分割協議書を作成する方法があります。

すでに相続人全員で遺産の分け方が決まっているのであれば、必要なのは新たに相続人同士を交渉させることではなく、「決まっている内容を、相続手続きに使用できるよう明確な文章にすること」です。当オフィスでは、この文書作成部分に重点を置いて遺産分割協議書の作成をサポートします。

ご相談,お問い合わせ

遺産分割協議書は、自分で作成することができますが、「自分で作れるか」ではなく「自分の相続に合った協議書を作れるか」で考えます。相続関係が単純で、相続人全員の合意内容が明確であり、財産の種類も少ないのであれば、公的機関が公開している記載例などを参考に作成できるケースもあります。一方、

  • 相続人が多い
  • 数次相続になっている
  • 不動産が複数ある
  • 預貯金や株式など財産の種類が多い
  • 財産ごとに取得者が異なる
  • 一般的なひな形では対応方法が分からない

という場合には、個別事情に合わせて遺産分割協議書を作成する方法を検討した方がよいでしょう。

相続人間で遺産分割の内容がすでに決まっており、「あとは協議書として正確に文書化したい」という場合には、ひな形に相続内容を無理に当てはめるのではなく、相続関係・財産・合意内容を整理して、その相続に合った遺産分割協議書を作成することが大切です。

遺産分割協議書の作成について、不明点,疑問点などございましたらお問い合わせください。

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必要かどうかの判断だけからでも、まずはご相談ください。

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代表 行政書士 辻下仁雄

        Profile
        大学で応用数学を学び、システムエンジニアとしてIT関連企業に勤務。2017年行政書士事務所を開業し現在に至る。
        申請取次行政書士    2級ファイナンシャルプランニング技能士